
イギリス与党・保守党の党首選が始まり、13日の第1回投票では、リシ・スーナク前財務相が1位になった。スーナク氏はボリス・ジョンソン政権から辞任し、他の多くの政府要職者が一気に辞任するきっかけを作った1人。保守党議員は今週から来週にかけて複数回の投票を行い、候補者を2人まで絞り込んだ後、決選投票を行う。自動的に首相となる保守党党首は、9月5日に発表される見通し。
保守党下院議員の投票で、スーナク氏は88票を獲得。ペニー・モーダント通商政策担当相が67票で2位、リズ・トラス外相が50票で3位だった。
30票に達しない候補は次回投票で除外されるため、スーナク氏の辞任によって後任となったナディム・ザワウィ財務相(25票獲得)と、前回党首選で決選投票をジョンソン氏と争ったジェレミー・ハント元保健相(18票獲得)は、この時点で脱落した。
第2回投票は14日に行われる予定。
投票を繰り返して来週末までに候補者を2人に絞り込んだ後、決選投票には保守党員約16万人が投票して、次の首相になる党首を決める。最終結果は9月5日に発表される。
残るは6人
ハント元保健相とザハウィ財務相が撤退したことで、残る候補6人は、両氏を支持していた下院議員の票を取り付けることに奔走(ほんそう)している。
ハント氏はBBCに対して、自分は今後、党首選でスーナク氏を支持していくと述べた。
1位になったスーナク氏はBBCに対して、「最高」の気分だとして、今回の結果を非常に喜んでいると話した。
2位になったモーダント氏は、結果について「とても光栄」だと述べた。
トラス氏の報道担当は、「税金を減らし、私たちが必要とする本当の経済的変化を初日から実施し、ウクライナでプーチンが確実に敗れるようにする候補のもとで、同僚はみな団結すべき時」だとして、「リズには、ブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)の利益を初日から実現し、経済を成長させ、勤労過程を支援するために必要な経験を備えている」と強調した。
ベテラン議員のトゥーゲンハート下院外交委員長はツイッターで、「素晴らしい結果だ。この国を改善するためのこの勢いをもって、次の投票に進むことができてとてもうれしい。この国は新しい再出発が必要だ」と書いた。
2019年の党首選で決選投票をジョンソン氏と争ったハント氏は、自分はすでに党首と首相を目指して「挑戦」する機会を得ていたとして、保守党には「わくわくする未来」が待ち受けていると話した。
他方、陣営同士の対立が険しくなり、党首選の空気が悪化しているという批判が上がっていることを念頭に、ハント氏は「残る候補たちに、そっと助言させてもらう」として、「相手への中傷や攻撃は短期的には効果的かもしれないが、長い目で見ると必ず自分にふりかかってくる」と苦言した。
スーナク氏の辞任に伴い財務相になったザハウィ氏は、財務相としての仕事が自分の「最優先課題」だとして、「(党首選に)これ以上、介入するつもりはないが、全候補の幸運を祈る」と述べた。
保守党党首選は、ジョンソン首相が8日に党首辞任を表明したことから手続きが始まった。ジョンソン氏は、パンデミック対策のロックダウン中にルール違反のパーティーが首相官邸で相次いでいたことなどが厳しく批判され続けたことに加え、性的加害行動が問題視されていた保守党議員を政府要職に就けたことと、問題発覚後の説明が事実と異なると批判され、スーナク氏をはじめとする政府高官数十人が次々と辞任したことから、辞意表明に至った。