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2022年7月20日

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日本フィギュアスケート界の象徴的存在で、史上最高の男子フィギュアスケート選手の1人と称される羽生結弦選手(27)が19日、都内で「決意表明の場」として記者会見を開き、競技会から引退してプロアスリートに転向すると発表した。4回転アクセル(4A、4回転半ジャンプ)への挑戦も続けていくとした。

羽生選手は会見冒頭、「本当に緊張しています」と切り出し、「プロのアスリートとして、競技者として他のスケーターと比べ続けられることはなくなりました。ただ、これからは自分のことを認めつつ、また自分の弱さとそして過去の自分とも戦い続けながら、これからも滑っていきたいと思っています。そして、4回転半ジャンプにもより一層取り組んで皆さんの前で成功させられることを強く考えながら、これからも頑張っていきます。戦い続ける姿をこれからも応援して頂けたらうれしいです」と述べた。

記者から競技生活について質問されると、「これから競技会というものに出るつもりはないです。やってきた中で、競技会の結果というものに対し、取るべきものは取れたと思っていますし、そこに対する評価を求めなくなってしまったのかなという気持ちがあります」と答えた。

競技会を離れようと思ったタイミングについては、2018年平昌オリンピック後や、それ以降に出場した試合が終わるごとに考えていたと明かした。

今後はプロのアスリートとしてスケートを続けていくと表明。具体的な計画については頭の中に構想はあるとしつつ、実現可能か周囲と話し合った段階だと述べるにとどめた。

ただ、「もっと今の時代に合ったスケートの見せ方とか(中略)、本当にスケートを見たことがない方も含めて、これだったら見たいかなと思うようなショーであったり、応援してくださる方々が納得できるような場所だったり、演技だったり、そういったものを続けていきたい」とした。

羽生選手は2014年ソチ五輪と2018年平昌五輪の男子シングルで金メダルを獲得。66年ぶりに同種目での五輪連覇を達成した。

3度目の五輪となった今年2月の北京大会では、フリースケーティング前日の公式練習で右足首を負傷。本番で挑んだ前人未到の4回転アクセルでは転倒したが、4Aのアンダーローテーション(回転不足)として記録された。ショートプログラム8位、フリー3位で総合4位となった。

熱心なファン集める

羽生選手は「氷上の王子様」とも称され、その優雅なスケーティングスタイルは審判員だけでなくファンをも魅了してきた。

試合以外でインタビューに応じることはほとんどなく、ソーシャルメディアに登場することもまれだ。それでも、「Fanyu(ファニュー)」と呼ばれる熱心なフォロワーを集め、演技後にリンク内に花の代わりに「くまのプーさん」のぬいぐるみを投げ入れる「プーさんシャワー」も注目された。

2014年と2017年の世界選手権で優勝するなど、名声が高まるにつれメダルの数も増えていった。

五輪連覇後の2018年7月には個人最年少で国民栄誉賞を受賞。国民的アイコンとしての地位はより強固なものとなった。



近年ではたびたび、けがに悩まされてきた。平昌五輪シーズンの2017年11月には、グランプリ(GP)シリーズ第4戦NHK杯を翌日に控えた公式練習で右足を負傷し、同大会と五輪代表最終選考会を兼ねた全日本選手権を欠場した。

北京五輪シーズンとなる2011年11月には右足関節靱帯損傷のため、グランプリシリーズを欠場するなど、世界の大舞台で戦う能力を削がれてきた。

痛み止めを打って臨んだ北京大会フリーでは冒頭の4回転アクセルの着地で転倒し、続く4回転サルコーでも転倒。羽生選手は演技後、今回はすべてがうまくいかなかったように感じると述べていた。

19日の「決意表明」会見で、羽生選手は「やっぱり、僕はアスリートでしかないと思っている」、「芸能人とかアイドルでも何でもないですし、やっぱりアスリートとして格好いいなと、アスリートとしていろんな希望とか夢とかを見せてもらえるなって思ってもらえるような存在として、これからも努力していきたいなと今は思っています」と語った。

「羽生結弦という存在は常に重荷」

また、五輪2連覇を果たしたスケーターとして注目を浴び続ける中での苦悩も口にした。

記者から、「羽生結弦」として生きてきて大変だったことはあるかと問われると、「僕にとって羽生結弦という存在は常に重荷です。すごく重たいです」と答えた。

「それでも羽生結弦という存在に恥じないように生きてきたつもりですし、これからも生きていく中で羽生結弦として生きていきたい」

一方で、「自分の心をないがしろにする事はしたくない」とも話した。「本当に心が空っぽになってしまうようなこともたくさんありました。訳もなく涙が流れてきたりとか、ご飯が(喉を)通らなかったりとか。正直いわれのないことも言われたりとか、そんなたたかなくてもいいじゃんということもあったりとか、正直いろんなことがありました」。

羽生選手は、自分のことを大切にしてきてくれた人たちと同じように、「自分自身も大切にしていかなきゃいけない」と思っていると話した。

今後の人生の最優先事項として3つ挙げるとしたらとの質問には、「成功させられる努力をすること」、「一生胸を張って生きていける生き方をすること」、「常に勉強し続けること」だと答えた。

(英語記事 Iconic Japanese figure skater Hanyu retires

提供元:https://www.bbc.com/japanese/62232545

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