うつ病蔓延時代への処方箋

2013年4月23日

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 これは時代の流れであり、受け入れざるを得ませんが、蓄積された疲労を自覚できない人に問題が生じる恐れが出てくるのです。「疲れた、嫌になる」など愚痴を言う人はまだいいのですが、そうでない真面目に文句も言わずに働くようなタイプが疲労を自覚しないままにして、抑うつ状態を作ってしまう。それが自分のスタイルなどと思いこんでしまえば、症状は悪くなる一方です。

 そこに何らかのきっかけが加わることで潰れてしまう。まるで飲み終わった缶ビールのように、グチャと押し潰された状態のままになる。そうなると跳ね返す力が湧きあがってきません。軟式テニスボールのように、圧力が加わりへこんでも、すぐ元に戻る柔軟さがあれば、耐えられるのですが、疲労の蓄積が硬直化を招いてしまいます。

 抑うつ症状になる原因は、人により異なりますが、ビジネスマンの多くは前述した内容が当てはまると思います。

症状治療が薬を増やす要因に

―― 抑うつ状態で来院される患者さんに対して、どのような治療をされるのでしょうか。また、批判の多い薬漬け医療についての考え方は。

佐野:行動パターンを形作る人格、パーソナリティーの問題だけでなく、知能的な問題もあります。これは感じ方、受け取り方、推論の仕方、広義の意味で認知機能すべてをいいます。知能といっても知識とか理解だけではなく、処理スピード能力、記憶の質などを含めて考えなくてはいけません。私は知的な資質という言い方をしていますが、この特徴とパーソナリティーの傾向をファクターに分け、弱いところを探します。これを伸ばしてあげればいいのですが、弱いところほど簡単には伸びません。逆にストロングポイントを伸ばす方が速いのです。

 ウィークポイントとストロングポイントを見つけ、本人に理解させ、自覚して日常生活で考えながら行動してもらう。具体的にどうするかといえば、課題を与え、次の受診日までに考えて日記に書いてきてもらうことをしています。洞察力が弱い人には認知行動療法的ではなく、直接的にこうしてください、とディレクティブに伝える方が本人も安心して動けることが多い。洞察力のある人は、一つを言うだけでわかってくれるので、違う形をとります。

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