うつ病蔓延時代への処方箋

2013年4月23日

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 治療の基礎となるのは、知的な資質の評価、分析とパーソナリティーのファクターの評価と分析の組み合わせです。本人がどこで悩んでいるのかパターンを読み取るためには、失敗や成功の話、日常生活、人付き合いなどを聞きながら分析していきます。その結果でトレーニングをする。

 ただ、うつ病の場合は薬による治療に頼ります。何を話しても抑制がかかっていますので、思考が定まらない、話を覚えていない状態にあるからです。なので、うつ病患者には、まず薬での治療が基本です。問題なのは、抑うつ状態なのかうつ病なのかの境界線上にある場合です。これは両方の治療法を行いながら経過をみていきます。

 薬漬け治療という話はよく聞きます。肯定的な捉え方はできませんが、私が医者になった25年前と比べ薬効はかなり進歩しています。とくに副作用は大幅に改善しているのは事実です。薬漬け治療となる原因は、症状治療(一症状に一対応)を行う医師が増えていることに問題があると思います。それらは症状だけで判断するので、その分だけ薬が増えてしまう。もっと思慮深さ、大局的な評価、そして根気強い治療が必要です。

 患者さんは苦しいので治療を受けにくるのですが、完治しなくても辛さが無くなれば幸せで豊かな人生を送ることができるかもしれません。もちろん人によりパターンは違いますが、いずれにせよ患者さんの人生を考えずに、症状を取り除くことだけに専念してしまう、もちろん精神科医だけではありませんが、ある値を正常値に戻すことに執着する医師が多いのではないでしょうか。そこに批判が出てきているのだと思います。 

[特集] 「心の病」にどう向き合うべきか?


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