2024年5月21日(火)

オトナの教養 週末の一冊

2013年4月25日

――政策を考える上で、世の中には多様な立場や意見を持った人々がいることを意識することが重要だと思います。しかし、最近の人々の中ではそういった多様性を無視したような意見が多い気がします。

飯尾氏:多様な立場や意見を持った人々を互いに尊重できる社会は豊かな社会です。最近はゆとりがなく、他人のことを考えることができない人が多いのかもしれません。

著者の飯尾潤氏 (撮影:編集部)

 ただ、多様な立場や意見を尊重できない原因のひとつにはメディアの問題があると思います。たとえばインターネットのクリッピングサービスを使えば、自分が興味のある記事だけを読むことができるし、FacebookやLINEといったインターネット上のサービスで親しい人とだけ意見を交換することができます。つまり、自分とは「違うもの」と意識的に接していかないと多様性を意識するのは難しい。逆に、新聞を読めば、自分にとって興味のないことや気にくわないことも書いてあるので、どうしても他者を意識せざるを得ない。

 政治はポリティクスと言いますが、これは語源的には複数形が背景にある言葉です。つまり、複数の多様な立場や利益が違う中で、共通の善を求め調整するのが本来の政治の役割です。そのためには、他者の存在を認め、共通基盤をつくる必要があります。

――政策をつくるための共通基盤について本書では「政党間競争の共通基盤」として1章を割かれています。政策を巡る議論での共通基盤となるような、共通の事実認識が重要だということでしょうか?

飯尾氏:立場により事実は違って見え、さらに統計の取り方次第で、統計の数値そのものが違うという側面もある。絶対の事実を前提にできるほど事柄は簡単ではない。自分と違う見方があることを認識したうえで、事実認識も含めた共通基盤を探ることが重要です。先程はインターネットの負の影響について触れましたが、逆にネットの発達により、一般の人でも多くの情報にアクセスできる時代になったことは間違いありません。地位や肩書きに関係なく、よく勉強している人は様々なことを知っている。


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