そもそもマイノリティだと大学に行ける経済力のある家庭が少ない
一方で実際の職場の第一線で働く人々にとって、アファーマティブ・アクションとは「絵に描いた餅のようなもの」と捉えられている、という調査結果を発表したのはマッキンゼー・レポートだ。大企業は常に「マイノリティの役員、女性リーダーの割合」に神経を尖らせているが、実際に働く側から見れば「大きな変化は見込めない」という。
アファーマティブ・アクションが職場の向上に役立つ、と考えている正社員は3分の2以上だが、パートタイム雇用などで第一線できつい仕事をする人々はそれを幻想だと考える。そもそもマイノリティだと大学入試や企業、公務員採用に有利ではあっても、大学に行ける経済力のある家庭が圧倒的に少ないという現状は改善されていない。
10月の審議までに今後様々な議論が行われ、もともとの訴訟を起こしたアジア系団体などはいかに自分たちが不当に入学や職業差別をされているかを今後も訴え続けるという。人種多様社会だからこそ起こる問題ではあるが、アファーマティブ・アクションは米国社会に今後も大きな問題を投げかけることになりそうだ。