40年ぶりのインフレ、ガソリン価格も史上最高値
いま米国では「バイデンフレーション」という言葉がよく聞かれる。狂乱的とも言えるインフレによるバイデン政権批判が込められた言葉だ。5月には前年比の消費者物価指数が8.6%増加したが、これは1981年以来、という高い水準だ。
もちろんバイデン大統領の政策がインフレの元凶とは言えない。過去2年続いたコロナによる物流の分断、想定外の露によるウクライナ侵攻など、米国だけではなく世界中を悩ませ物価高を呼び寄せる要素があるのは確かだ。しかし就任以来最低賃金の引き上げ、巨額の環境対策など、インフレを招きかねない政策が施行されてきたのも事実だ。
インフレの厳しさを庶民が最も実感するのはガソリン価格。車社会の米国ではほとんどの人がマイカー通勤であるため、影響も大きい。6月に入り全米の1ガロン(約3.6リットル)あたりのガソリン小売価格平均が5ドルを超えた。これは米国の歴史上初めてのこと。
あくまで平均であるため、大都市部のロサンゼルスなどではガソリンスタンドでの小売価格は現在6ドル台から7ドル、ニューヨークでは10ドルを超えたところまで登場した。1年前と比べて平均で1ドル94セントの上昇だが、問題は5月の1カ月だけで50セントも上がった、という点だ。
ガソリン価格が上がる、ということは物流などにも影響が出る、ということだ。食料品などの価格は1年前と比べて11.9%上昇。こちらに住んでいる感覚としてはスーパーに行くたびに値上げに気づくような感じだ。