2024年11月25日(月)

From LA

2022年6月20日

 筆者は3月末に日本に一時帰国、5月末に米国に戻ったのだが、その2カ月間で価格が上がった、と感じる。例えば牛乳、パン、野菜など普段買う食品の価格に、スーパーに行くたびに驚かされるのだ。牛乳はガロンあたり1ドル以上も上がっているし、食パンも半斤のものが3月には2ドル99セントだったが現在は3ドル99セントになっている。野菜類も高い。特に高いのは卵で、なんと年初から32%も上がった。これは鳥インフルにより養鶏の6%が失われたことが影響しているらしい。

 もちろん外食も値上げラッシュだ。全米のレストラン価格の平均は7.4%の上昇だというが、ここでは見えない値上げ、つまり価格は変わらないが明らかに1人分のポーションが少なくなっている、というのが見られる。

ライドシェアも、住宅価格も、賃貸も、値上げ

 最も値上げを感じるのがウーバーなどのライドシェアサービス。カリフォルニア州ではギグワーカーを正社員にする、という法案が通った影響もあるのか、安くて便利だったはずのライドシェアが驚くほど高い。以前は自宅から空港まで20ドル程度だったのに、今や30ドルでタクシーと変わらなくなってしまった。

 インフレ対策として金利引き上げが行われているが、これが新たな問題を引き起こす可能性もある。6月に入り、住宅ローンの金利が5.7%になった。ただでさえ歴史的に高い住宅価格にこの金利では、特に若い初めて家を買う人々にとってマイホームはますます手の届かないものになっている。しかし賃貸価格も1年前と比べて5%の上昇で、特に大都市部で若者が1人暮らしをするのは難しくなっている。

 新聞で見て驚いたのは、サンフランシスコで一軒家に日本のカプセルホテルのような1人分のベッドプラスαのユニットを16も入れて、シェアハウスとして貸し出している、というものだ。リビング、キッチン、バスルームはすべて共用で、それでも1月のレントは600ドルだという。

 一方ロサンゼルスの住宅価格は1年で17%上昇、現在の中央価格はついに100万ドルを超えた。これに高金利が重なると、住宅購入はほぼ絶望的になる。自動車ローン金利も上がり、年収10万ドルでも生活は苦しいのだという。

 こうした状態が続くと、リーマンショックの時のように突然住宅バブルが弾け、不況に陥る可能性も十分にある。実際に来年からリセッションが始まる、と予測する経済学者は多い。


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