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2022年6月25日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

イーロン・マスク氏(REUTERS/AFLO)

 テスラ社CEO、イーロン・マスク氏が「出社できない社員は会社を去れ」と発言したことが、米国でも大きな波紋を呼んでいる。「時代遅れだ」という批判もある一方で、「顔を合わせた議論がなければ斬新なアイデアは出てこない」という考え方への賛同もある。

 実際に米国で、テレワークを継続しているのは全体の26%程度で、2025年には22%程度になる、という予測がある。(Global Workplace Analystics社の調査)意外に少ない、と感じられるが、そもそもテレワークが可能なのは製造、サービス、建設などを除く一部企業のホワイトカラー限定だ。また、シカゴ大学オウルラボの調査によると、テレワーク可能であっても認めていない企業は全体の44%に上る。

 では、テレワークの利点とはなにか。まず挙げられるのが従業員の経費節約だ。通勤の時間とコスト、外食、休憩時のコーヒーなど、総額で月に500ドル程度の節約になる。また就業時間は平均で40分間短縮となった。

 テレワークを支持する声は根強く、全体の23%が「リモートを続けられるなら給与の1割カットに応じる」と答えている。また59%が今後転職をする際、リモートを認めている会社を優先する、と回答した(オウルラボの調査)。

 テレワークの方が出社よりも生産性が上がる、と考える管理職は32.2%で、理由は「職場での同僚とのお喋りなどがなくなり、仕事に没頭できるため」。一方で22.5%が生産性が下がった、と感じており、理由は「家事(子供の世話など)で取られる時間が増える、1人で仕事をするとダラダラしやすい」などだ。

 米国で最もテレワーク率の高い職種は以下のようになる。

  1. コンピュータIT
  2. 金融会計
  3. マーケティング
  4. 医療関連
  5. プロジェクトマネジメント
  6. カスタマーサービス
  7. 人材派遣
  8. セールス
  9. 総務一般
  10. 教育トレーニング

 医療や教育などの分野でテレワーク率が高いのは、ITを使ったテレメディスン、またARやVRを使った遠隔教育などが普及したため、と考えられる。

 しかしGAFAMなどの大手ITでも徐々に従業員の出社が始まっており、現在もテレワーク100%を継続しているのはMeta(旧フェイスブック)のみ、とも言われる。企業側が社員に出社を求める理由とは何だろう。

 マスク氏は「リモートが始まってから、画期的といえるイノベーションが生まれたか? 真に新しいアイデアを提供していくためには対面での対話が必要だ」とテレワーク禁止の理由を語ったが、それを裏付ける調査がネイチャー誌の4月号に掲載されている。

 それによると「5カ国のエンジニアに対する調査で、出社して対面議論する方がクリエイティブなアイデアが生まれやすい」という。ただし、出されたアイデアの中から1つに絞り込む過程においては、テレワークの方が効率が良かった。

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