2022年10月6日(木)

BBC News

2022年9月7日

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国連の国際原子力機関(IAEA)は6日、ウクライナのザポリッジャ原発への砲撃によって、放射性物質が無制限に放出される恐れがあると警告した。また、ロシア軍の現地設備が安全を損なう可能性があると訴えた。

ロシアはウクライナ侵攻の初期に、欧州最大の原発、ザポリッジャ原発を占拠。同原発はその後、繰り返し攻撃にさらされている。

先週現地を訪れたIAEAは6日、報告書を公表。その中で、安全とセキュリティー確保のための保護区域の設置と、砲撃の即時中止を求めた。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、この報告書を歓迎。「原発敷地内にロシア軍の武器が存在し、そこで働く私たちの職員が圧力を受け、ロシア軍の占領は明確だと言及」するものだと述べた。

さらに、原発がある地域の非武装化が目的ならば、保護地域の設置を支持すると付け加えた。

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IAEAは報告書で、ロシア軍の管理下で働く907人のウクライナ人職員が「極めて大きなストレスのかかる状況」に置かれていると強調。

それら消耗した職員について、家族のサポートと適切な労働環境を提供される権利があるとした。

IAEAはまた、原発の被害状況を詳細に説明。繰り返されている砲撃は、核の緊急事態までは引き起こしていないものの、「安全に深刻な影響を及ぼす放射性物質の被害を招きかねない」脅威になっているとした。

IAEAはさらに、軍事行動による原子力事故を防ぐための「暫定措置」が緊急に必要だと主張。今以上の被害を避けるため、「原子力の安全およびセキュリティーの保護区域」の設定に、すべての関係者が同意する必要があると付け加えた。

IAEAによると、ザポリッジャ原発周辺では、ロシア軍と軍の車両や機材が視認された。原発6基のうち2基のタービン建屋内には、「軍用トラック数台」があったという。

IAEAは、原発敷地内の軍事物資や重要区域付近での衝突は、原発の保護システムを損なうと警告。安全システム妨害する恐れのある車両の撤去を求めた。

IAEAはまた、スタッフが原発の冷却池を訪れるには、ロシア軍の許可が必要だと指摘。ロシアの国営原子力企業ロスアトムの関係者が施設内にいることを批判した。そして、これは重要な決定が求められる際に、摩擦の原因になり得るとした。

一方、ロシアのヴァシリー・ネベンジア国連大使は、6日の国連安全保障理事会で、「IAEAの報告書で残念なのは(中略)砲撃の実施主体が直接名指しされていないことだ」と発言。ウクライナが原発を砲撃したとし、IAEAはそれを非難すべきだったと主張した。

ザポリッジャ原発には原子炉が6基あるが、侵攻が始まって以降、2基だけが稼働している。ここ数日は1基のみ稼働している。

IAEAは3日、同原発とウクライナの電源網をつなぐ4本の送電線がすべて遮断され、電力供給を予備の送電線に頼っていると明らかにした

ウクライナ当局は5日、最後の主要送電線が遮断された後、稼働中の原子炉が送電網から切り離されたと発表した。

砲撃めぐり互いに非難

ザポリッジャ原発への砲撃について、ウクライナとロシアは互いに、相手によるものだと非難している。

ロシアは6日、過去24時間のうちにウクライナが3回、原発のある地域を攻撃したと非難した。

ウクライナは、ロシア軍が原発を盾にして近隣の都市を砲撃していると訴えている。ロシアは、原発を守っていると主張している。

こうした状況でIAEAは、どちらの側にも責任を押し付けないよう慎重な姿勢を示している。

IAEAは先週、14人ほどのチームがザポリッジャ原発を訪問。その間も砲撃は続き、ラファエル・グロッシ事務局長は、原子力災害の危険性が非常に高いと警告していた。チームの大半は2日間で引き上げたが、IAEAは職員2人が無期限で現地にとどまるとした。

(英語記事 Nuclear agency calls for Ukraine plant safety zone

提供元:https://www.bbc.com/japanese/62816507

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