サンディエゴでは治療院を営む。針が怖い人が多いため、指で針を打つ「指針術」を日本語の発音で展開している。開業に3年、軌道に乗せるまで2年かかった。
「英語ではBody Energy、東洋医学で言う“気”を入れることで、ネガティブな思考パターンがポジティブに変わっていきます。知られている指圧やマッサージのほうが簡単だったかもしれません。でも妥協しなくてよかった。ビジネスも人生も差別化が大事です。振り回されずに、自分の方針を決めて、揺るがずやっていれば、必ず周りがついてきてくれます」
スタート地はいわき・小名浜港
東北と福島に込めるメッセージ
「ヒロさん、カメラマンが10人、記者さんが40人くらいいます。テレビカメラが3台ほどですね」
記者会見の席上、辛坊さんは自己紹介の前に、ヒロさんにこんなガイドをした。職業柄、光景を的確に説明できる辛坊さんは、ダブルハンドの相方としてうってつけだ。小誌4月号で辛坊さんやエオラス号が協力することになった経緯を書いたが、すべてを動かしたのはヒロさんの情熱である。ヒロさんのポジティブ“有言実行”スタイルは、周囲をどんどんポジティブに変えていく。「横断なんて無理」という声はかき消されていった。
サンディエゴには、ヒロさんの太平洋横断をサポートしてきた団体SWIS(See What I Seaの略語)がある。東日本大震災を受け、日本人として風化させない努力をしたいと、ヒロさんは募金活動を続けてきた。横断出発前日、津波でヨットを失ったいわき海星高校ヨット部といわきジュニアヨットクラブにディンギー(小型ヨット)をSWISから贈呈する予定だ。「海はまた君たちを待っていると伝えたい」「僕の夢を福島から始めたい」そんな想いが小名浜港のスタートに込められている。
ヒロさんの夢は太平洋横断が成功しても終わらない。
「生きる意味を見失った子どもたちを招き、ヨットの体験学習を行いたい。子どもにWatch(見張り)の役をしてもらい、僕が操船する。君がいなければ進まないということをヨットが伝えてくれる。生きる意味をわかってもらえると思うんです」
(編集部 大江紀洋)
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