2024年4月26日(金)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2013年5月22日

勢いづく中国国内のタカ派

 一方、人民日報系のタカ派紙、環球時報は11日、「琉球問題を活性化し、政府の立場を変える準備をしよう」と題した社説を掲載し、日本が中国への敵対を選ぶなら、中国政府は今の立場を変えて琉球再議論を主張すべきと訴えた。

 社説は論文について「日本がこれほど緊張したのは、自信のなさの表れ」として“琉球カード”の有効性を強調、3段階戦略で最終的には中国政府が「沖縄地区で琉球国復活に向けた勢力を養成すべきだ」と訴えた。まさに日本の反響の大きさに、勢いづいた形だ。

加熱ぶりに当惑を隠さなかった張氏

 張氏は17日付の環球時報に発表した手記で、論文の意図などについて補足説明を行って、日中双方のクールダウンを呼び掛けた。手記の要旨は以下の通り。

 一、論文は、「釣魚島は中国固有の領土だ」との、より有力な論拠とするため、日本の歴史上の琉球処分を持ち出し傍証としたものだ。

 一、末尾の「琉球再議論」がこれほどメディアやネチズンに注目されるとは思わなかった。

 一、再議論は、わたしが琉球史と近代日中交渉の歴史から得た結論であり、現実の日中関係から出発したものではない。

 一、再議論すべき点は(1)琉球はかつて独立王国であり、明清時代は中国の属国だった (2)1943年のカイロ会議で、米国のルーズベルト大統領は中国(中華民国)の蒋介石主席に対し、戦後、琉球を中国の管理とするか意見を求め、蒋は米中両国の共同管理にすべきと答えた (3)52年のサンフランシスコ講話条約を中華人民共和国は認めていない (4)琉球の人々が独立と帰属のどちらを求めるのか。琉球人民の意見は再議論の重要な根拠となるべきだ――の4点だ。

 一、決して“中国は琉球を求めている”のではなく、一部の「中国は琉球を奪還すべし」との意見は妥当ではない。

 一、「中国が釣魚島に次いで沖縄、最後に日本を占領する」などと日本の右翼が騒いでいるのも荒唐無稽であり、“中国脅威論”の鼓吹にすぎない。


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