2022年12月8日(木)

BBC News

2022年11月8日

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アンソニー・ザーカー、BBCニュース、米ワシントン

8日投開票の米中間選挙の最後の世論調査の結果が発表され、誰もが気になる疑問への答えが見えてきた。勝つのは民主党なのか、共和党なのか。

調査結果は、共和党が4年ぶりに下院で議席の過半数を取り戻す勢いだと示唆している。

上院は接戦で、判断が難しい。過去2年間は民主党が最少差で過半数を維持してきたが、今回、共和党が勝利する道のほうが民主党より多い。

両院での勝敗を理解するには、数字を見ればいい。

下院では、共和党は全435議席のうち改選時の状態から5議席だけひっくり返せば、過半数を取ることができる。

世論調査や情勢分析をもとに競争力を分析する「クック・ポリティカル・リポート」によると、共和党は212議席で優勢だ。他に接戦が35議席あるとされるが、そのうち6議席さえ獲得すれば、共和党は過半数を抑えることになる。接戦議席のうち10議席は共和党が現職だ。

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上院は100議席で、もう少し単純に理解できる。今年改選されるのは35議席だけで、接戦はわずかだ。

共和党が全体で現状より1議席でも増やせば、上院は共和党が抑えることになる。

民主党が共和党よりも多くの議席を守ろうとしていることを考えると、民主党が上院を失う道のほうが、勝って維持する道より単純に多い。そのため、差はわずかながら、共和党が優勢だ。

それでも総合的に判断すると、今回の中間選挙の結果がはっきりした時点で、共和党が上院か下院の少なくともどちらかを掌握している可能性が高そうだ。

この2年間、アメリカの国政は民主党がまとめて主導権を握ってきたが、その勢力図は一変する見通しだ。選挙結果が今後2年間の米政治に与える、具体的な4つの影響を見ていく。

バイデン氏の立法課題の終わり

就任から2年がたつジョー・バイデン大統領と民主党は、ぎくしゃくした感じではあったが、かなり実質的な法案を成立させることができた。環境、医療、その他の社会的プログラムに対する大規模な支出などに関するものだ。

しかし、8日の共和党の勝利で、その流れはすべて終わる。

いくつかの問題では、超党派で協力する可能性がある。例えば、共和党と民主党は今年、銃規制と技術投資に関する法案通過で協力したし、昨年もインフラ支出で協力した。だが、中絶、教育、投票権などリベラル派が優先するような大きな課題は、暗礁に乗り上げるだろう。

共和党は独自の立法課題を掲げる。特に重視しているのが、国境警備、法執行のための支出、予算削減、化石燃料の採掘だ。だが、たとえ共和党が両院を制しても、民主党は上院でフィリバスター(議事妨害)に出たり、ホワイトハウスでバイデン氏が拒否権を使ったりして、共和党主導の法案成立を阻止できる。

今後2年間は、議会の行き詰まりが常態化するだろう。

バイデン氏は、政策を一方的に実施するための手段を模索することになる。議会では共和党が、わずかに得た優勢をもとに議会運営をしていくだろう。共和党は、2024年の大統領選で勝ち、議会での優勢を拡大しようと目論んでいる。それまで同党は、抜本的な改革には取り組まないだろう。

共和党が調査権を握る

この2年間、民主党が議会で主導権を握ってきた。議会監視の強大な権限を、自分たちに関心のあるテーマに集中させることもできた。それによってたとえば、昨年1月6日の連邦議会襲撃事件に関して広範な調査を展開したほか、中絶、医療、投票権といったテーマでも公聴会を開いてきた。

しかし、共和党が議会の委員会を掌握すれば、優先順位は急速に変わるだろう。

下院の保守派はすでに、バイデン氏の息子ハンター氏の中国とのビジネス関係を調べる公聴会を約束している。バイデン政権の移民政策、米軍のアフガニスタン撤退、中国でのコロナウイルスの流行の起源についても調べたいとしている。

上院の司法委員会は、大統領による連邦裁判所判事の指名を審査する。民主党は過去2年間、終身雇用の新任判事を次々と就任させた。その人数は、近年で過去最多となっている。

もし共和党が上院も掌握すれば、バイデン氏が指名した判事候補の承認が行き詰まることが予想される。また、連邦最高裁に空席が生じた場合は、次の大統領選までそのままとなる可能性が高い。

政府機関が閉鎖されるリスク

民主党が議会を握ったことで、アメリカは2年間、政府機関の閉鎖や国債のデフォルト間際の状態を招いてきた対立から解放されてきた。

それが間もなく終わる。

これまでに承認された支出を賄うため、新たな国債の発行は議会が承認が法的要件となっている。共和党が下院を制した場合に議長になるとみられているケヴィン・マカーシー氏ら一部の同党議員は、民主党に大幅な予算削減に同意させる方法としてこれを利用すると、すでに脅しをかけている。

アメリカが債務不履行に陥ったことは一度もない。

しかし、議会が年次歳出法案を承認できずに政府機関の一部が閉鎖されることは、より起こりやすくなっている。ドナルド・トランプ前大統領の政権で2回、バラク・オバマ元大統領の政権で1回起きた。

共和党と民主党が政府支出の基本的な枠組みで合意できなければ、来年末までに再び政府機関が閉鎖される可能性は高そうだ。

バイデン氏の危うい前途

共和党による議会支配は、バイデン氏にとって苦い現実となるだろう。同氏は、トランプ政権の激動の4年間の後にアメリカ人を結束させることができる人物として、選挙戦に臨んでいた。

だが、バイデン氏は実際には、相変わらず分裂した国家、彼の政権と家族を排除しようとする敵対的な議会、そしてトランプ氏がホワイトハウス奪還を目指す可能性に直面することになる。

ほとんどの大統領は、1期目の折り返し地点での選挙で挫折を味わう。勢いを取り戻して再選を果たした大統領もいたが、今回の結果が挫折となれば、バイデン氏の政治的な弱さが続いていることの表れとみられるだろう。2024年大統領選が始まれば、バイデン氏は別の民主党候補を立てられるよう、再選は諦めて身を引くべきだという声があらためて高まるかもしれない。

バイデン氏と側近らは、口をそろえて再選を目指すとしている。ホワイトハウスはすでに、バイデン氏が9日に選挙結果を受けた演説をすると発表している。

バイデン氏がその演説をどうこなし、今後数カ月に予想される逆境にどう対処するかは、まだわからない。その出来は、大統領再選に向けた支持を、まず自分の党内でどれくらい得られるかに、大きく影響することになる。

(英語記事 The vote looms - so who will win Congress?

提供元:https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-63551272

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