2022年12月2日(金)

BBC News

2022年11月15日

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テッサ・ウォン、BBCニュース、インドネシア・バリ島

アメリカのジョー・バイデン大統領と中国の習近平国家主席は14日、インドネシア・バリ島で会談した。関係修復を意図した会談となり、バイデン氏は終了後、中国と「新たな冷戦」になることはないと約束した。

バイデン氏が大統領に就任して以来、2つの超大国の指導者が対面で会談するのは初めて。

会談は、習氏の到着後すぐ、高級ホテルで3時間にわたって行われた。台湾を含む幅広い問題が議論された。

バイデン氏は終了後、中国が台湾に侵攻するとは考えていないとも述べた。

両首脳の会談は、主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)がバリ島で開幕する前日に行われた。北朝鮮やロシアのウクライナ侵攻についても話し合った。

習氏はウクライナ情勢についてあらためて平和を呼びかけたうえで、「複雑な問題に単純な解決はない」と述べた。

会談後の単独会見でバイデン氏は、「中国が北朝鮮をコントロールできると確信している、とは言いにくい」とした上で、北朝鮮が核実験を繰り返さないよう説得する「義務が」中国にはあると、習氏に伝えたと話した。

台湾めぐるやりとり

台湾は、米中関係で常に対立の種となってきた。中国は自国の一部だと主張しているが、台湾はアメリカを同盟国として頼りにしながら、自治を続けている。

8月にはアメリカのナンシー・ペロシ下院議長が台湾を訪問し、緊張が高まった。これを受けて中国は、台湾周辺で大規模な軍事演習を実施。米中の衝突につながることが懸念された。

中国国営メディアによると、習氏は会談で台湾について、「中国の核心的利益の中心であり(中略)米中関係における越えてはならない最初のレッドライン」であり続けると強調したという。

米当局はここ数週間、中国が台湾侵攻の計画を加速させる可能性があると警告している。

会談後のバイデン氏の記者会見では、そうした状況が実際に発生しており、新たな冷戦が起こりつつあるとみているかとの質問が出た。

バイデン氏は、「新たな冷戦の必要はないと、私は確信している。私は習近平と何度も会っており、あらゆる問題で互いに率直かつ明確だった。中国側が差し迫って台湾を侵攻しようとするとは、私は思わない」と答えた。

また、「そうした事態に決してならないよう、中台間の問題の平和的な解決を望んでいると(習氏に)はっきり伝えた。彼は私が言っていることを理解し、私は彼が言ってることを理解したと確信している」と述べた。

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バイデン氏によると、両首脳は問題解決のため、政府高官レベルでの対話メカニズムをつくることで合意した。アントニー・ブリンケン国務長官が近く、中国を訪問する予定だという。

バイデン氏はまた、習氏に対し、「私たちの台湾政策は全く変わっていない。これまでと全く同じ立場だ」と伝えたと述べた。

バイデン氏はこれまで、台湾が中国から攻撃された場合、アメリカは台湾を防衛すると繰り返し述べている。これは、台湾の防衛について約束はしないとする、アメリカの長年の「戦略的曖昧さ」からの逸脱とみられている。政府関係者は、バイデン氏の発言の修正に努めている。

アメリカは長い間、台湾問題で綱渡りをしている。対中関係の基礎は「一つの中国」政策であり、北京の中国政府しか承認していない。台湾とは正式な関係がない状態だ。

しかし、実際には台湾との間で密接な関係を維持しており、台湾関係法に基づいて武器を売却している。同法は、アメリカは台湾に自衛手段を提供しなくてはならないと定めている。

対立ではなく競争

バイデン氏はまた、中国の人権問題にも懸念を示した。新疆地区のウイグル族、香港、チベットの問題などが含まれる。

両首脳は今回、世界の安定は両国の関係次第だと認識しており、責任ある行動を取っていくつもりだと、互いに、そして会談を見守る他の国々に対して、示そうとした。

バイデン氏と米政府関係者はここ数日、中国との強い競争意識を維持する一方で、アメリカは中国との対立を望んでいないと繰り返し強調。融和が目標だと伝えようと腐心してきた。

習氏も同じ考えのように思われた。会談の冒頭発言で習氏は、「世界は岐路に立っている」ことから「私たちは中米関係の正しい道筋を描く必要がある」との認識を示した。

習氏はその後、中国側の声明で、「中米関係は、片方が得れば片方が失うというゼロサムゲームであってはならない。(中略)広い地球は、中国とアメリカの発展と共同繁栄を十分に受け入れられる」とした。

専門家の評価

オーストラリア国立大学で台湾について教える政治学者ウェンティ・スン氏は、「実質的な合意はほとんどなかった」としたうえで、両首脳とも、会談は成功したと主張することができると指摘した。

「習は、自分はバイデンに威圧されないと示すことができる。アメリカと中国は本当に対等だと」

一方、バイデン氏については、「アメリカが台湾問題で限界を広げる」ことが認められたと、サン氏は説明。同氏はさらに、「双方は対話を改善させることで合意し、他国を安心させた」とした。

シンガポール国立大学の政治学者イアン・チョン氏は、「全体的にポジティブなトーンだったと思う。両国には共通の利益があり、その利益には両国関係を暴走させないことも含まれるという認識が示された」と述べた。

「だが、まだいくらか慎重にみている。中国とアメリカの関係は不安定であり、動き出したり止まったりする」

(英語記事 Biden promises 'no new Cold War' with China

提供元:https://www.bbc.com/japanese/63631901

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