朴大統領の訪米と、特に、議会での熱狂的な歓待は、朴大統領を支持しなかった層を含め、多くの韓国人の誇りになったであろう。韓国のソフトパワーは向上している。平和維持活動や対外援助も経済力以上の水準である。朴大統領が米国との同盟関係は今やグローバルなものになったと強調したのも、頷けるところだ。
極めて対照的なのは、北東アジアにおいて韓国よりもはるかに大きい米国の同盟国である日本であり、韓国との関係もこじれている。朴大統領は米国議会の合同会議に招かれた5人目の韓国大統領となるが、日本の総理が招かれたことは一度も無い、と論じています。
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オバマ大統領だけでなく、エコノミスト誌も、朴大統領の人柄に惹きつけられ、韓国贔屓になっていることがよく解る論説です。
朴大統領の訪米は、オバマ大統領との信頼関係を築き、韓国の国際的イメージを高めた点では大成功でしたが、共同宣言を見る限り、両国間の最大の懸案とも言える米韓原子力協力協定改定問題などについて、特別の進展があったとは見られません。
北朝鮮との関係では、韓国側が開城工業団地の資材引き取りのための交渉を求めているのに対し、北朝鮮はこれに応ずる姿勢を示していません。6月下旬に予定されている朴大統領訪中で、中国側の十分な協力を確保できるか否かが鍵となります。
経済情勢改善も今後の重要課題として残っており、輝かしい訪米という宴のあとには厳しい現実があるというべきでしょう。
本論説の最後にある日本に対する冷淡な表現は、主に、我が国の「右傾化」に対する懸念から来ていると思われます。朴大統領も、訪米中、日本の右傾化や歴史問題について、執拗に批判的な言辞を繰り返しました。朴大統領のこのような対日認識には異論のあるところですが、日本としては、不用意な言動によって、歴史認識問題を国際政治問題にしてしまうのは何としても避けなければなりません。現在、歴史認識を争点にして、日本が勝てる見込みはほぼゼロです。日韓の関係悪化は、両者の同盟国である米国にとっても困ることです。この点、韓国の朴大統領が米議会での演説で、米韓同盟によって、自由、人権、法の支配、平和を共に推進する、と述べて米議会の拍手喝采を浴びたことは、いかにして対日イメージをよりよいものにしていくかの参考になるでしょう。これらの価値観は、日本こそ、堂々とアピールする資格があります。
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