2024年12月22日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年4月9日

 米ブルッキングス研究所の2月号ウェブで、Evans J.R. Revere米ブルッキングス研究所上席研究員は、米韓同盟にとって喫緊の課題は北朝鮮の核問題であり、オバマ大統領は、朴槿恵大統領との緊密な連携の下に、ハイレベルの特使を任命して、金正恩らトップの指導者との対話を試みるべきである、と論じています。

 すなわち、米韓同盟の最大の課題は、北朝鮮の核問題である。オバマ大統領は、朝鮮半島「信頼プロセス」を提唱してきた朴大統領に十分な検討の時間を与えるべきであり、忍耐が必要である。韓国の支持しない対北朝鮮政策は成功しない。

 北朝鮮の非核化を目指したこれまでの交渉は失敗に終わり、三度目の核実験の結果、非核化の見通しは遠のいている。しかし、北朝鮮を事実上の核保有国として認めることは論外であり、また、核兵器の拡散防止・生産停止の代償に一時的な核保有を容認することもすべきでない。北朝鮮が充分な査察を認める筈が無いからである。如何に見通しが遠のいたとは言え、北朝鮮の非核化という目標を捨てるべきでない。

 対話を再開するには、これまでと違う新たな手法が必要である。北の指導部が核保有の決意を固めている以上、外交レベルでの接触では意味が無い。金正恩、張成沢、崔竜海クラスのトップとの対話が必要である。オバマ大統領は、有力な大統領特使を任命して平壌に派遣すべきであり、北朝鮮も同レベルの特使をワシントンに派遣すべきである。

 大統領特使は、非核化と中・長距離ミサイル開発計画中止の代償として、米朝関係の改善、平和協定の締結、経済・農業支援、電力支援などについてどのように考えているかを北朝鮮の指導部に説明すべきであり、また、北朝鮮が協力しない場合に、何が起きるかも説明すべきである。その結果、非核化の交渉が進むことになれば結構であり、逆に、北朝鮮が拒絶すれば、強力な制裁を課す理由にもなる。

 米国は、韓国政府とも調整の上、北朝鮮に対して強固な措置を取るべきである。具体的には、厳しい金融制裁、北朝鮮船舶の臨検強化、北朝鮮の政治的隔離、ミサイル防衛システムの強化、空・海軍力の配備増強、軍事演習の増加などである。但し、中国が同調しなければ、北朝鮮は生き延びられるかもしれない。

 いずれにしても、韓国とのすり合わせが重要であり、早期に米韓首脳会談を行い、核の拡大抑止を含む米国の韓国防衛義務を再確認すべきである。外務・防衛大臣レベルの「2+2」会合で、北朝鮮の通常兵器による挑発への具体的対応を決める必要もある。


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