2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年3月4日

 1月25日付米外交評議会(CFR)のサイトで、Scott A. Snyder外交評議会上席研究員は、一期目のオバマ政権は、北朝鮮問題に深入りせずに、北の核・ミサイル開発の進展を許したので、二期目には、もっと積極的な戦略を取るべきであると、オバマ大統領に四つの具体策を提言しています。

 すなわち、オバマ第一期政権は、北朝鮮の挑発を制裁で凌ぐとの「戦略的忍耐」政策を取ることにより、北の核問題に正面から取り組んだ場合の政治的リスクは回避できたが、北の核・長距離運搬能力の向上は阻止できなかった。

 2011年から12年にかけての控えめな対話に基づく米朝合意は、北の長距離ロケット発射を阻止できず、また、国連による非難や制裁は、北の反発を招いただけで、北は今後も衛星や長距離ロケットの打ち上げを続け、「高い水準」の核実験も行うと公言している。北が三回目の核実験に踏み切れば、更に制裁や決議が不可避だが、それで北朝鮮を抑え込むことはできないと考える。

 北のミサイル・核計画の進展を阻止するために、オバマ新政権は、もっと積極的な戦略を取り、北朝鮮を巡る環境を変えることが必要である。具体的には次の四つの措置が含まれるべきである。

 1.「北の核の顧客を減らす努力の強化」

 オバマ政権一期目に、リビア、ミャンマーでの政治的変化により、両国が北の核の顧客から外れたことは良かった。他方、昨年、北朝鮮はイランと科学技術協力に関する覚書を結び、両国間の技術者の交流も続いている。国連決議の厳格な実施等により、この両国の協力関係の阻止を優先課題とすべきである。

 2.「韓国との統一歩調の結成」

 オバマと李明博の親密な個人的関係もあって、米韓では、緊密な政策調整ができた。朴槿恵次期大統領とも緊密な関係を築き、米韓両国が北朝鮮を平和的に地域に統合する為の共通の政策アプローチを創り、非核化も、そのような幅広い外交的・政治的努力の中に位置付けることが必要である。また、米国は、北朝鮮がらみの輸送・エネルギー・プロジェクトについて、韓国が中露両国の協力を得られるよう助力すべきである。


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