2023年1月30日(月)

BBC News

2023年1月6日

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中国で有名人の死去が相次いでいる。そうした状況が明らかになるにつれ、国民は新型コロナウイルスによる死者数の公式発表に対し、疑念を強めている。

先月、京劇俳優の儲蘭蘭氏が死去した。40歳という若さゆえ、社会に大きな衝撃が広がった。

彼女の家族は「突然の旅立ち」に悲しんでいるとしたが、死因については詳細を明らかにしなかった。

中国は先月、「ゼロコロナ」政策を転換。以来、新型ウイルスの感染者と死者が急増している。病院や火葬場が対応し切れていないとも報じられている。

中国当局は日別の感染者数の公表を中止。肺炎などの呼吸器系疾患で死亡した人だけをカウントする独自の厳しい基準に照らし、昨年12月以降の新型ウイルスによる死者は22人だけだと発表している。

こうした状況を受け、世界保健機関(WHO)は4日、中国が国内の新型ウイルスの真の影響(特に死者数)を過小に報告していると警告した

俳優や脚本家なども

京劇俳優の儲氏などの死は、新型ウイルスによる死者数が、実際には公式発表よりずっと大きいのではないかとの憶測を呼んでいる。

元日には、俳優の龔錦堂氏(83)が死去したとのニュースが流れ、中国の多くのネットユーザーが悲しんだ。20年以上続く人気テレビ番組に出演し、親しまれた存在だった。

死因は不明だが、ソーシャルメディアでは多くのユーザーが、最近相次いでいる高齢者の死と関連づけている。

ユーザーの1人は、「この波は本当に多くの高齢者の命を奪った。みんなで家族の高齢者を守ろう」と、中国のソーシャルメディアの微博(ウェイボー)に書き込んだ。

最近亡くなった著名人にはこのほか、映画「紅夢」(1991年)などに関わった脚本家の倪震氏(84)、元ジャーナリストで南京大学の教授をつとめた胡福明氏(87)などがいる。

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中国メディアによると、昨年12月21~26日には、国内トップの科学技術アカデミーに所属していた科学者が計16人死去した。

こうした人々の死亡記事は、どれも新型ウイルスが死因だとは書いていない。それでもネット上では憶測が広がっている。

倪氏の死去を伝える記事に続く最高評価のコメントには、「彼も 『悪性のインフルエンザ』で死んだのか?」と書かれている。「ネット全体を探っても、彼の死因に対する言及は見当たらない」という書き込みもある。

中国では昨年11月、ゼロコロナ政策の廃止を求めて、中国では珍しい抗議デモが街頭で起きた。それに参加した人たちを批判する声も出ている。

あるソーシャルメディアユーザーは、「あの人たちは今、高齢者の現状を見て幸せなのか」と問いかけた。

習近平国家主席は新年の演説で、中国のように大きな国には異なる意見を持つ人々がいて当然だとし、デモに言及したものと受け止められた。

しかし習氏は同時に、中国が新型ウイルス対策で「新たな段階」に入ったとし、国民の結束を強く促した。

中国当局は、政府の発表に懐疑的な見方が広がっていることを認識している。それでも、中国を席巻している新型ウイルスの波の深刻さを、小さく見せかけようと努力し続けている。

北京の呼吸器疾患研究所の所長は、国営テレビのインタビューで、この冬これまでに死亡した高齢者の人数が例年より「間違いなく多い」ことを認めた。だが一方で、重症化しているのは患者全体のごく一部だと強調した。

共産党機関紙の人民日報は今週、新型ウイルスに対する「最終的な勝利」に向けた努力を市民に呼びかけるとともに、かつてのゼロコロナ政策への批判は相手にしない姿勢を示した。

(英語記事 Celebrity deaths spark fears over China Covid toll

提供元:https://www.bbc.com/japanese/64183139


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