2023年2月8日(水)

BBC News

2023年1月18日

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ヴェトナムのグエン・スアン・フック国家主席(69)が17日、辞意を表明した。これを受け、同国を率いる共産党の指導部で大きな権力の変動が起きる可能性がある。

フック氏は首相を経て、2021年から国家主席を務めていた。かねてその辞任はうわさされていた。今月には副首相2人が辞任していた。

ヴェトナムでは現在、強硬派が汚職事件の摘発を進めており、共産党員数百人が捜査対象となっている。

国家主席の辞任には国会の承認が必要で、18日にも臨時国会が開かれる予定。

共産党は声明で、フック氏のリーダーシップを称賛。しかし、多くの部下らの違法行為について政治的な責任があると説明した。

汚職事件をめぐっては、先に辞任した副首相2人にくわえ、別の閣僚2人や政府高官らが起訴されている。

「党と国民に対する責任を十分に自覚していたフック氏は、辞任して引退することを申し出た」と、声明は述べている。

党書記長が国家主席を兼任か


アジアで最も経済成長が著しい国のひとつとなっているヴェトナムは、党書記長、国家主席、首相、国会議長の「4本柱」から成る指導体制を取っている。フック氏は2016~2021年まで首相を務めた後、国家主席に任命された。

最高指導者は党書記長だが、国家主席も大きな権限を持っている。

一連の汚職摘発は、グエン・フー・チョン党書記長が主導。2022年だけで党員539人が、汚職や「故意の違反」で起訴されるか「罰」を受けている。これには閣僚や政府高官、外交官も含まれる。

警察も、前年比50%増の453件の汚職事件を捜査した。

チョン党書記長は今後、国家主席を兼任すると報じられている。兼任は一時的とみられているが、指導部内の分権が弱まり、権威主義の拡大につながるとの指摘もある。

別案として、党の最高意思決定機関である政治局のメンバーが、国家主席に昇格する可能性もあるという。


<解説> ジョナサン・ヘッド東南アジア特派員

ヴェトナム共産党は秘密裏に意思決定を行う。そのため、この国の政治を読み取るのは難しい。

だが、強硬派で、昨年の党大会で異例の3期目に突入したチョン党書記長は、西側諸国寄りかつビジネス寄りの高官を蹴りだすことで、自らの権威を統合しようとしているようだ。

公的には、これはヴェトナムで大きな問題となっている汚職摘発の名のもとに行われている。だがそこには、権力独占への挑戦を許さない共産党指導部における権力争いが示唆されている。

今回の辞任が、外国投資を奨励し、経済成長を推し進め、米中の間でデリケートな外交を切り抜けるという、ヴェトナムの全体的な方向性を変える可能性は低い。

しかし、安全保障に重きを置く幹部が党のトップに立つ可能性が高いことは、人権や党を批判する勇気ある少数のベトナム人にとって悪い知らせとなるだろう。

(英語記事 Power shift in Vietnam as president quits

提供元:https://www.bbc.com/japanese/64313572


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