2024年4月19日(金)

新しい〝付加価値〟最前線

2023年2月16日

発想を「傷つけない」から「育てる」へ
スカルプケア機能が付いたヤーマン 「リフトドライヤー rrse456ym」

 今までのドライヤーは、今ある髪の毛のダメージを抑えるものだったが、美容家電で好調のヤーマンの発想は異なる。髪の毛がどんどん伸びるようにしてやろうと考えたのだ。それがヤーマン「リフトドライヤー rrse456ym」だ。

ヤーマン「リフトドライヤー rrse456ym」

 送風口につけた、アタッチメント「リフトヘッド」を取り付け、毎秒100回音波振動で震わせる。マッサージは、処方部位を温めた方が有効だが、そこはドライヤー、問題はない。使ってみると、とても気持ちがいい。使ってもるとわかるが、これ乾かす、スタイリング時でなくとも、気分転換にもいい感じだ。同シリーズ最廉価モデルで、4万4000円(税込)。

「コードレス」を実現した
Zuvi Halo(ズーヴィヘイロー)

Zuvi Halo(ズーヴィヘイロー)

 ズーヴィは、香港のスタートアップ企業。オリジナル技術「LightCare」(以下 ライトケア)を使ったドライヤーで、全世界より注目を浴びでいる。ライトケアは、赤外線と風を使って髪を乾かすのだが、髪を傷めないし、消費電力も低い。ビジネスプランによっては、ダイソンの掃除機、「サイクロンシステム」のような発展性が見込まれる。

 オリジナル技術「ライトケア」は、赤外線で髪の毛表面、キューティクルだけを温め、最大36m/秒の風速で乾かす。乾かしはキューティクルに限定されるので、髪内部のコルテックスの水分は、そのまま。ダメージ最小という考え方だ。

 髪全体を熱しないので、水分抜けが少ない。髪の毛の傷みが少ない。その上、定格消費電力は、290W。普通のドライヤーは、1000〜1200Wだから、全く次元が異なる。そしてこのレベルの消費電力だと、コードレスも可能となる。

 ドライヤーは、座った状態で使うので、コードレスの効果は薄い様に思われるかもしれないが、実際使ってみると全然違う。今、動かす家電、ギアはコードレスが当たり前になりつつあるが、Zuvi Halo 光ヘアケアコードレスドライヤーは、それを先取りした感じ。

 オーロラの緑を思わせるプレートは、目を守るためのものだが、かっこいい上に、同社光ヘアケアドライヤーのアイコンにもなっている。売価、5万5000円(税込)。

今後、あたりまえになるか? 
美容液噴霧機能付きドライヤー

ミルボンとパナソニックが共同開発したドライヤー「ELMISTA」。送風口の下の穴から美容液が出る。

 発売は4月とまだ先だが、先日発表されたミルボンとパナソニックが共同開発したドライヤー『ELMISTA(以下 エルミスタ)』にも触れておく。このモデル、美容液を微細化して噴霧する機能を持つ。

 スタイリングする時、多くの場合、片手にヘアブラシ、片手にドライヤーとなるが、本当なら、適時美容液を紙にスプレーする第三の手が欲しいところ。この機能をドライヤーに持たせることにより、よりスタイリングしやすくしたのが、エルミスタだ。価格は5万5000円(税込)。

高級ドライヤーで勝ち抜くには

 冒頭、高級炊飯器は、メーカーの多数参加により、その市場が成り立ったと書かせてもらった。もう少し正確に書くと、1)販売はすべて家電ルート。店での比較がし易かった。2)日本人ニーズが一段落した時に、中国人の爆買いニーズが起こった。メディアによる再三取り上げられ、他国にも認められる家電として、「高級」のポジションを揺るがないものにした。

 一方のドライヤーは、販路が家電店、美容院と多岐に渡る。が、ユーザーコミュニケーションを密に取るのは、美容師さん。自分の髪質を知った上で、進めてくれるワケなので、より詳しく話ができるからだ。同じ様な高級ドライヤーを作ったとしても、どう推してもらうかで、話が全く変わってくる。どちらかというと、高級ブティックに近い売り方だ。

 日本の家電メーカーが苦手としている販売方法とも言える。それを知っているパナソニックは、美容家電をパナソニックビューティとして切り分け、市場へ全く異なるアプローチを行ってきた。銀座にあるショールームは、予約制で、一人一人のニーズを聞いた上で、試してもらうところ。一人に要する時間は60分以上。ここまで優雅なのは東京でも銀座位なもので、そこは老舗定番の貫禄とも言える。

 そのためか、パナソニックのドライヤーの人気は高い。別のところでも書いたが、パナソニックは今、家電、店によってはメーカー推奨価格を導入している。これはある種の委託販売で、価格はメーカー決定。代わりに店は在庫リスクがなくなるという売り方だ。

 別の言い方をすると、ブランドを確立させないと、それも採用できない。パナソニックが、メーカー推奨価格を適用したのは、ドライヤー。ブランドを維持することは、価格を維持することと同意であるのだが、そこの認識が徹底している。ちなみに、高級炊飯器は価格を下げる前に、中国爆買いなどが起こり、完全に分野を固定できた感がある。

 この分野が、最終的に成り立つか、どうかは、メーカーサイドが、いかにユーザーに寄り添えるのかにかかっている。パナソニックに、続くのは、どのメーカーか、興味が尽きない。

   
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