2022年12月9日(金)

新しい〝付加価値〟最前線

2022年11月15日

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多賀一晃 (たが・かずあき)

生活家電.com主宰

1961年生まれ。慶應義塾大学理工学部卒、同理工学研究科修了。大手メーカーにて商品開発・企画を担当後、独立。現在、商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。

 ロボット掃除機、ルンバを世に出して20年。共働きの頼れる仲間。自分がいない間に、床掃除をしてくれる便利なロボット家電。いろいろな家電メーカーがありますが、掃除自体を変えてしまったという意味では、革命的な家電といえる。そんなiRobotが、今回出したのは、拭き掃除時に、可変するロボだ。「Roomba Combo j7+」(以下 コンボ)をレポートする。

オンラインで顔を覗かせたCEO コリン・アングルと、初代ルンバ

夢から、実用品へ

 「この20年の内、もっとも記憶に残っているルンバは?」という質問に、CEO コリン・アングルは、次のように答えた。

 「それは、2002年のオリジナルモデルさ。ニューヨークのビルの一室で記者に説明したのだが、それまではロボットは夢。こんなことができる、あんなこともできると夢物語だあった。しかし、私が手にしていたルンバは現実。記者の目の色がだんだん変わっていくのがわかった。もしかしたら私は歴史的瞬間に立ち会っているのかも知れない……。私が、夢想家から実業家になった瞬間さ」

 夢で長い間語られて来たロボットが、ベルトコンベアの単純作業ではなく、AIを持って家庭に乗り込んだ瞬間でもあった。

iRobotは、OSとメカを常に考えている

 さてコンボを紹介する前に、iRobotのロボットに対する考えを確認したい。それはOS、メカ共によくなければならないということだ。ここでいうOSは広く「頭脳」と理解していただきたい。またメカは「機能」だ。要するセンサーを使用して得た必要情報を元に「判断、そのケース毎の対応策」を決める。そしてそれを確実に実行するのが「機能(人間で言うと身体)」というわけだ。人間は無意識のうちに、双方とも訓練している。

 実は、iRobotは双方が、高次元でバランス取れている。このため、日本の家電メーカーがよくやる、今年の「一発芸」というものはない。着実に進化している。私は、メカでは2つのローラーが特徴の「デュアルアクションブラシ」を評価している。このメカによって髪の毛が絡まない。

 ご存知の通り、iRobotが目指しているのは、ユーザーが「床掃除を忘れる、掃除という家事を忘れること」。これを実現するには、メンテナンス、トラブルフリーにしなければならない。人に助けられるメカでは困るのだ。普通の掃除機が「髪の毛が絡まない」に対応したのはつい最近だ。しかし、ルンバはごく早い時期から目標に掲げていた。そして実現させたわけだ。

 同様にOSも凄いが、iRobotのOSは、人間を基本にしていることが特徴として挙げられる。人間は80%以上の情報を「視覚」に頼っている。ルンバの主力情報入手は「デジカメ」だ。そして、ビッグデータを駆使し、前方に何があるのかを判断、対応方法を決める。人と同じ対応方法なので、全く違和感がない。

コンボは、床拭きもできるルンバ

 さて、iRobot社には、床掃除ロボット「ルンバ」の他、床拭きロボット「ブラーバ」がある。家の中では素足が基本の日本人にとって、雑巾掛けは必修科目。そうでないとだんだん足触りが悪くなる。「ブラーバ」は、そんな時に最適だ。

 ルンバと違うのは、家に人が居てもまったく問題ないところだ。吸引システムがないので、すこぶる静かだ。しかも小さい。使っていると、白い子猫が行ったり、来たりしているようだ。

 「ルンバ」と「ブラーバ」、2台あると、便利なことは、便利だが、コンセントも、収納スペースも必要になる。

 では「合体」させよう、として出てきたのが「コンボ」だ。ロボット掃除機が掃除した後を、床拭きシステムを使って拭く。しかし、困ったところがある。ブラーバは床拭き専用なので、カーベット、マットなどには近寄らない。しかし、ルンバは、その掃除をしなければならない。

 

 カーペットを掃除する時は、床拭きシステムは、少なくとも床に触れないようにする必要がある。では、ちょっと持ち上げればいいかというと、これはカーペットの毛足の長さによる。そうすると、完全に持ち上げるか、どこかに「収納」しなければならない。

 これを実現ことができたのは、一つはOSが人間同様の視覚情報で判断していることと、ルンバを開発する時、開発速度を重視、ダウンサイジング、小さくしなかったことが挙げられる。

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