デジカメで視覚情報を得る時の長所と短所
前述の通り、ルンバは、デジカメで視覚情報を得ることを基本にしている。ビッグデータを駆使することにより、カーペット、ラグの類は、間違いなく把握できる。ところがデジカメは単眼。2つ目がある人間のように、距離を正確に把握することができない。このためルンバは3つの超音波センサーを有している。
今までのサイズの中に押し込んだ床拭きシステム
以前、iRobotの副CEOにインタビューした時に、日本用の小型モデルは出さないのか? と質問をしたことがある。答えは「NO」。理由は、ダウンサイジングモデルを作るより、iRobotは先にしなければならないことがあるからだ、と淀みなく、答えた。
最近のルンバを見るたびに、「予備スペースがあるんだろうな」「小さくしてくれるのはいつなんだろう」と考えていたが、その予備スペースが、今回きっちり使われていた。
まず水タンクは、ダストボックスの一部を使う。クリーンベースを有するコンボは、掃除が終わる度に強制的にゴミをクリーンベースへと吸い込むので、少しくらい小さくしても問題はない。水タンクの容量は210ミリリットル。コーヒーのマグカップは、アメリカの超大型のものを除き、基本180ミリリットルだ。
水はゴミ吸い込み口の付け根、3カ所から放出される。ルンバは吸い込み口とダストボックスは隣にあり、最短で繋がれている。水のルートはその逆だ。パッドは、だんだん水を吸いながら、拭いていく。
さて前方にカーペットがあり、そこに上がらなければならないとなると可動変形が始まる。使用中の拭き取りパッドは、水を撒き散らさないように、完全にボディの下で使われる。裏返すと、半分、雑巾が付いている感じだ。そのパッドを後ろにずらし、完全にボディから露出させる。続いてアームで上に揚げ、天面の収納位置に載せる。静かに、素早く行われる。
コンセプトの整理を望む
床掃除システムは、使う前に水を入れる必要があるし、一回使うとパッドを洗う必要がある。当たり前だ。清潔にしておかないと、雑菌の温床、いやなニオイがしてしまう。
しかし、私が一番心配するのは、コンセプトだ。iRobotのコンセプトは、ユーザーに「床掃除を忘れてもらうこと」。前後で、すべきことが多くこれでは「毎回思い出して」しまう。要するに、ルンバ全体のコンセプトに合っていないのだ。
「ブラーバ」は単体では、完全に別システムのため、割り切りもできないわけではないが、今回は内蔵システムだ。クリーンベースを導入して、ユーザーが床掃除を忘れてくれるレベルを見たいが、これでは逆戻りだ。また、このまま使うにせよ、洗ったパッドを掛けられるシステムなど、まだまだ使い方で考えることは多い。
今までのルンバはユーザー不在での「ルンバ・ワールド」でしたが、今後、コンボを強く打ち出していくとなると、新しい考え方に基づく、新コンセプトが必要になる。これを放っておくと、だんだん各モデルの立ち位置が曖昧になり、わかりにくくなってしまう。つまり選びにくいため、ロボット掃除機自体選ばれなくなるのでは? と感じてしまう。