2022年11月27日(日)

新しい〝付加価値〟最前線

2022年7月25日

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多賀一晃 (たが・かずあき)

生活家電.com主宰

1961年生まれ。慶應義塾大学理工学部卒、同理工学研究科修了。大手メーカーにて商品開発・企画を担当後、独立。現在、商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。

 酷暑の夏が始まった。梅雨はたった3週間で明け、連続猛暑日の記録もマーク。近年にないほど暑い夏になりそうだ。こんな時、頼りになるのが、クールガジェット。外出先でも体を冷やせる小道具だ。販売店に行ってみると、色々な種類が一杯置いてあり、戸惑うばかりだ。今回は、夏のクールガジェットをレポートする。

(demaerre/gettyimages)

涼しくする要素その1、「風」

 夏を涼しく過ごすため、日本人は昔から色々な工夫をしてきた。まずは、家だ。徒然草の第五十五段に、

「家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬は、いかなる所にも住まる。暑き比わろき住居は、堪へ難き事なり」

 これは風通しのいい家を意味する。そして服。6月頭、日本は衣替えの時期。日常の服を、薄い、風通しのいい夏服に取り替える。そしてこの時代のクールガジェットは、扇子に手拭い。この二つのガジェットは、落語家が今でも使い、落語業界では、それぞれ「かぜ」「まんだら」と呼んでいる。

 明治期になって、家電が出てきたときも、扇風機は真っ先に実用化された家電。そのくらい、人は夏の暑さに弱いとも言える。この時代まで共通しているのは「風」で涼しさを求めたということだ。

 人は汗をかくことで体の体温調整をする。汗が気化する時、周りから熱を奪う(気化熱)。風は、それを促進する。風が吹くと洗濯物が乾き易いが、同じ原理で、汗を乾かす。つまり、夏でも「風」が吹くとか涼しいのはそのためだ。

 夏服は基本的に風通しを重視した作りになっている。ダブッとした感じで、袖口、襟ぐりが開いている。いわゆるオーバーサイズだ。そして吸湿性のよい生地が基本となる。皮膚と服の間に風を通すこと、汗をより乾きやすくすることで涼しくなるからだ。

涼しくする要素その2、「熱交換器」

 「風」一辺倒だったのが変わったのは、クーラー、エアコンが出てきてからだ。こちらは電気を使い冷媒を強制的に圧縮・膨張させることで、気化・液化させる。その時の吸熱・発熱現象を利用し、空気の温度をコントロールする。中の熱を外に出すことにより、冷やす。熱交換器と呼ばれるものだ。

 また冷媒を用いない熱交換器もある。「ぺルチェ素子」と呼ばれる半導体素子で、片面で放熱、片面で吸熱する。

 昔は人間の生体機能と風を組み合わせて涼んでいたが、今は温度自体を機械と電気を使い変化させるのが主流になった。理由は簡単で、風だけより涼しいからだ。

 夏に使うクールデバイスも、この「風」か、「熱交換器」を使う。「風」系で2種類、「熱交換器」系でも2種類ある。それぞれの代表モデルを例にとりながら、長所、短所を上げていく。

ハンド扇風機(風系ガジェット)

ハンディ扇風機。2019年モデル。小泉精器社製

 風系の一番手はハンド扇風機だ。内臓充電池で小さいファンを回して、涼を取る。実用化された最大の理由は、充電池が高性能になったことだ。乾電池だったら、電池代、つまりランニングコストが高く、ここまでの支持はえられない。今まで散々使われてきた技術なので、開発費はほぼ「0」。またパーツも特注でなく。ありもので十分。このため、価格は1000円以下が主流だ。

 長所は、誰でもすぐ使えること。基本的に扇子の代わりとなるわけだからありがたい。ただし扇子のような優雅さはなく、どちらかというと可愛い感じが売りだ。

 短所は、少しうるさいことだ。日本は、電車内などなんとなく静けさを強要される場所が少なからずあるが、そんなところでは使い難い。またポケットへの収納も厳しい。ただし、重くはないので、バッグの中に入れておいても負担にはならない。

 山手線に乗ると、女学生がよく使っている。扇子より団扇に近いガジェットと行った方がいいかもしれない。

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