2022年12月9日(金)

新しい〝付加価値〟最前線

2022年11月19日

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多賀一晃 (たが・かずあき)

生活家電.com主宰

1961年生まれ。慶應義塾大学理工学部卒、同理工学研究科修了。大手メーカーにて商品開発・企画を担当後、独立。現在、商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。

 小型調理家電。値段が数万円と買い求めやすい価格でもあり、ここ数年、いろいろな調理家電が流行し、今やかなりの種類が店頭に並ぶ。「炊飯器」「オーブントースター」「ノンフライヤー」「単機能電子レンジ」「スチームオーブン」「電気鍋」「電気圧力鍋」「ホットプレート」「フライヤー」「小型スチーマー」などなど。

 調理方法は大別して7種類ある。焼・茹・炒・揚・煮・和・蒸。「焼く」「茹でる」「炒める」」「揚げる」「煮る」「和せる(あわせる)」「蒸す」。「炒める」以外は、調理家電の出番となる。「これで炒めたの?」というレベルのものであれば、ないわけではないが、中華料理的な、食材と火力をコントロールしてという感じではない。

 今回、その欲求不満を一気にひっくり返すような調理家電が出た。まずは、アイリスオーヤマの「シェフドラム」。今までにない、家庭用小型調理器だ。

「シェフドラム」の何がすごいのか?

「シェフドラム」

 写真を見た瞬間に、「見たことあるよ」という人も多いだろう。さる大手チェーン店の厨房には、似たものが置いてある。具材を炒めるためだ。炒めるというのは、焼くに似ているが、水気がなくなるまで焦げ付かないように揺すりながら、煮詰めるように火を通す調理法のことだ。手で行うとかなり疲れる。

 それを機械で行うため「回転運動」を使う。「シェフドラム」は、その名の通り、ドラムが回転する。このため、今まで、踏み込めなかった「炒める」という調理法をモノにすることができたのだ。

 なぜ、今までなかったのかというと、家電の場合、安全性を考慮し、なるべく回転体は使わないようにしているし、また、回転体を使う場合は、安全マージンを取る。いい例が扇風機だ。回転体の羽はカゴの中に入れられ、触れにくくなっている。逆説的な言い方をすれば、「羽なし」で大いに名を売ったのがダイソンだ。回転体は機械のイロハとも言えるが、それほどまでに気を使う必要がある。

 回転体を持つ調理家電などは、調理中は、中身が高温になり危険だ。大手メーカーがやってこなかったことに挑戦する。気概に溢れるアイリスオーヤマらしい調理家電とも言える。

 実際に使ってみると、「青椒肉絲」「回鍋肉」など、メジャー中華がオートで出来上がる。野菜炒めなどでも、フライパンでかき混ぜるのとちょっと違うが、焼いたのではなく、炒まっている。

 また、揚げ物もできる。揚げ物は慣れるとそうでもないが、とにかく温度キープが大変だ。惜しげもなく油を使うのなら、あまり温度が変わらないので、問題にはならないが、どうしても最低の油量で揚げたいのが人情だ。

 「シェフドラム」で唐揚げに必要な油は、300ミリリットル。通常の半分程度だ。料理がうまくなると、少量の揚げ物に対して、プライパンを斜めに傾けて、ごくごく少量の油で揚げる人がいるが、それと同じ。レシピ本の通り、手羽元10本、5本×2回揚げでみたが熱の通りも十分で、美味しかった。内釜がすっぽり取れるので、後片付けも簡単だ。

 ただし、問題もある。調理家電は作り放し、できた後も放置して問題ない調理をするのが多かった。ところが、唐揚げは、放っておくと、どんどん深くまで揚がる。また、スパゲティーもそうだ。出汁と具を乾麺と一緒に入れてつくる「しめじ、ほうれん草、ベーコンのスパゲティー」などは、即出して食べなければ、ぐにゃぐにゃに、そして伸びてしまう。

 オーブントースターは、パンを焼くために買うとして、次なる調理家電は「電気なべ / 電気圧力なべ」だった。『シェフドラム』は、圧力なべのような、高圧時短はできないが、電気なべができることは、基本的にできる。

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