社食に企業の想いあり

2013年7月10日

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小川たまか (おがわ・たまか)

フリーライター

1980年東京生まれ。教育、働き方、性暴力などを取材。『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。』(2018年/タバブックス)。Yahoo!個人「小川たまかのたまたま生きてる」(https://news.yahoo.co.jp/byline/ogawatamaka/)などで執筆。Twitter:@ogawatam

 このキッチンで、約30人いるスタッフたちの多くが、入れ替わり立ち替わり食事を作る。同社のスタッフはフォトグラファーやそのアシスタント、レタッチャー(写真を修整、加工する人)が多く、撮影のスケジュールによって食事時間が異なる。休憩時間は、各自のスケジュールで随時取ることができる。撮影班なら撮影班など、4~5人のグループになって料理することが多いそうだ。

「男性の方が料理上手?」
意外な一面の発見も

 同社がこういったスタイルの社食を始めたのには、こんな理由もある。食の撮影を社内で行うことが多いため、撮影で使った食材がどうしても余ってしまう。さらに、撮影のスケジュールによっては早朝出勤があるなど、勤務時間が不規則になりがちなため、食事を簡単に済ませてしまう若いスタッフも少なくなかった。

業務用の大きな冷蔵庫には、撮影で使用した食材がいつもたくさん保管されている

 余った食材と社員の食事問題。この2つの問題を同時に解消できるのが社内キッチンだった。キッチンの一角におかれた2台の業務用冷蔵庫には、ハムやベーコン、ムネ肉などさまざまな種類の肉や野菜はもちろん、タマゴ、チーズ、果物、バニラアイス、麺類、ドリンク類といったたくさんの食材が入っている。パックに入った作り置きの料理が置かれることもあり、空きスペースはほとんどない。冷蔵庫横のラックには各種調味料、香辛料、小麦粉、かつお節、米など。

 食事の時間になると、この冷蔵庫の前でしばしのシンキングタイム。食材を眺めながら、今日の献立を決める。

 取材に伺ったこの日は、計盛さんや事業開発部の戸上さんらが取材陣の分も食事を作ってくれた。調理時間は15分ほど。野菜を切ったり、盛りつけたり、自然とそれぞれの担当が決まり、和やかに調理が進む。心地よい静けさの中で鍋が湯気を立てる光景は、思わずここがオフィスだということを忘れてしまう。

手際よく調理を進める計盛さん(右)と戸上さん(左)。途中から新たなグループも調理を開始

 今日の献立は、トマト・レタス・タマネギのサラダと、チーズあり、チーズなし2種類のフランスパン、付け合わせのタマゴのマヨネーズ和え、作り置きのミネストローネ。8人がけの白いテーブルに、野菜やタマゴの色が映える。当たり前だが、どのメニューもしっかりと手づくりの味がする。タマゴはシンプルだがどこか懐かしい味。丁寧な味付けのミネストローネがおいしいと言うと、計盛さんが男性スタッフが作ったものだと教えてくれた。

 「男性の方が料理に対するこだわりが強くて、意外に手際が良かったり、味付けに工夫があったり。家族にシェフがいるスタッフもいて、プロが作ったようにおいしいと感じることもあります。仕事とは違う一面を見ることができるのも楽しいですね」(計盛さん)

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