2024年4月24日(水)

ちょっと寄り道うまいもの

2009年3月27日

 例えば、そのもの自体の新しさ。今でこそ、パイなんて当たり前のお菓子であるが、売り出された頃は真新しいものだった。私自身、まさにその当時の子供だが、そんな洒落たもの、知らなかった。覚えがない。

 発売元の春華堂は、もともと和菓子の専門店である。よくもまあ、そのようなものを作ろうと思ったものだが、高度経済成長期の時代の空気か、土地柄か。

 そして、その新しいものを、単純にそのまま売り出したのではなく、浜松という土地で誰もが思い浮かべるウナギと合わせたという工夫。土地の名物とはいえ、ウナギをお菓子と合わせるという、大胆と言えば、あまりにも大胆な発想……。

ファクトリーのカフェサロンでは、うなぎパイをアレンジしたスイーツが人気。見た目の「?」は、一口で納得の「!」に

 実はこのうなぎパイの工場、ファクトリーツアーと称して、一般の工場見学を受け付けている。製造ラインや関連のあれこれの展示を見学し、うなぎパイをアレンジしたスイーツなどもあるカフェで一息つき、商品を買ってというルート。

 そのルートに乗って見聞きしたり、食べたりしていると、最初の直感のようなイメージ、「?」と「!」はもっと深い意味で、そのものではないかと思えてくる。

 夜のお菓子だけではない。

 「パイって、何?」

 「ウナギの入ったお菓子?」

 という疑問や驚きから始まり、

 「あら、美味しい!」という納得に収斂するというわけ。意外性やギャップがあった上で、納得させられたので、うなぎパイは人気を得て、浜松を代表する味となったのではないかということなのだ。

 今では定番以外にバリエーションも増えた。

なに、真夜中のお菓子なんていうものも?

 そう、うなぎパイVSOP!

ファクトリー内のうなぎパイ模型 

■うなぎパイファクトリー
東海道新幹線浜松駅から車で約30分
静岡県浜松市西区大久保町748-51
℡ 053-482-1765
(営)10時~18時(見学受付は16時30分まで)
見学/入場自由(団体および案内付きのファクトリーツアーは要予約)、無料

 

◆「ひととき」2009年4月号より

 

 

 

 

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