(図表3)米国・名目GDP成長率と長期金利の推移
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ところが、近年の米国を見ると、マイナスの実質金利が結構実現している。長期金利は、過去15年のうち11年ほど名目成長率を下回り(図表3)、2011年5月以降12年末に至るまで消費者物価上昇率を下回っている、(図表4)。
そして、消費者物価上昇率や名目成長率よりも低い実質金利が続いた効果は大きい。企業の設備投資や家計の住宅投資が促され、より高い経済成長ばかりか金融バブル崩壊からの早期脱却やシェール革命の早期取込みなどがもたらされ、米国経済の再活性化に大きく貢献している。
米国の実質金利安の背景には、FRBが大胆な金融緩和を継続してきた中で景気が好調に推移してきたことがある。とりわけ三次にわたる量的緩和政策が、大量の資金供給と国債購入を通じて長期金利安を実現し、結果として安い名目金利と実質金利を実現した。
日本でも久々に揃った金融緩和・好景気の両条件
図表1に見られるように、80年代以降日本でも長期金利が名目経済成長率や消費者物価上昇率より低かった時期が折々ある。
ところが、このうち、2010年と2012年はそれぞれリーマンショック後の世界的な景気落ち込みと東日本大震災後の落ち込みからの反動増の時期で、特殊要因によるものだ。