2024年5月14日(火)

Wedge REPORT

2023年8月2日

〝昭和〟な考えを変えないといけない

 能作やモリタをはじめ富山県には社員を大切にし、地域貢献に注力する中小企業経営者が多い。富山県中小企業家同友会は、会員企業だけでなく一般市民も参加できる講座「ダイバーシティ市民大学」を無料で開催。ここでも種部さんは、中小企業の経営陣向けにも更年期障害の特徴、女性がパフォーマンスを落とす実情と月経や更年期障害による労働損失、社会のなかで女性が抱えるジェンダー問題について講義を行っている。

ダイバーシティ大学で講演する富山県議会議員の種部恭子さん(Wedge)

 6月21日に富山市内で行われた第一回「ダイバーシティ市民大学」を訪ねると、種部さんの講義のほか、講師に富山県人材活躍推進センター・女性就業支援センターの山口秀子所長が招かれ、「働く女性の指標が良い富山であっても、女性を採用する時に『結婚したばかりけ?』『小さい子のいるママはなぁ』という〝昭和〟な考えが残っています。そうした意識が変わらないと、都市部に進学した若者が富山に戻ってこなくなってしまいます」と、歯に衣着せない実情が語られ、経営者らが熱心に耳を傾けていた。

 富山県の同友会では、DVや虐待などのトラウマで就業継続が難しい人を雇い、会社が家族のように見守る「職親」や「お試し雇用」を実施する体制を整えるなど、社会に求められる役割を果たそうとしている。同友会のメンバーらは「人を大切にせず、経営はできない」「地域の一員である社員を大切にするのは当たり前」「誰かの役に立つのが仕事であって、それが自分の幸せにつながる」と口々にし、そうした理念ある経営者が集まっている。

 能作やモリタのように企業としての社会的な責任を果たし、社員が次世代を育めてこそ、100年続く企業となり得るのではないか。このような企業が増えることこそ、日本の少子化が止まる一番の対策となるだろう。

   
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