「男性と女性では、手に取りやすい位置が違います。背の低い女性でも手に取りやすいように、同じ小鉢でもいろいろな高さに置いているんです」と「パティオ」支配人の松崎明さん。このほかにも、配膳カウンターからレジに向かうまで、いくつかの場所に小鉢を置き、小鉢を手にすることのできるタイミングを増やしている。些細なところに細かな気配りがあるのだ。
食堂で心がけるコンセプトを聞くと、野菜たっぷりで健康志向であることという。月に1回、エームサービスとリクシルで保健師や栄養士も出席する定例会を開き、どのようなメニューがよく出ているか、野菜メニューを手にとってもらうためにはどうすればいいかを話し合う。
「若い社員も多いので、どうしても揚げ物や肉などボリュームのあるものが好まれます。付け合わせで野菜をたくさん食べてもらったり、ドレッシングはノンオイルするなどの工夫が必要です。2カ月に1回のペースで健康診断を希望者に行ったり、血液サラサラをテーマにしたメニューを提供する週間も設けています」(柄本さん)
「野菜バイキング」というメニューもあり、200円で新鮮な野菜をたくさんとれる工夫もなされている。パティオで食事していたIT推進本部の篠田明子さん(37)と佐藤愛美さん(26)に話を聞いたところ、2人とも「水曜日以外はパティオ、水曜日はパセオでお昼を食べる」と話していた。パティオの方が「日常っぽい感じ、パセオは特別な日という感じがする」というのが理由だそう。
「『パセオ』より多く利用してほしいですか?」と聞くと、松崎さんは「それはそうですよ」とニヤリ。週に何度か「偵察」に行くこともあるという。それでは「パセオ」を見に行ってみよう。
特別な日使いの?「パセオ」
そば粉にもこだわり
「中庭」を意味する「パティオ」に対し、「パセオ」は「散歩道」を意味する。リノベーションしたオフィス内の通路を小径風に設えているからだ。もともとショールームに併設するフレンチレストランだった場所を使っている「パセオ」は白壁の内装が特徴の、広々とした空間だ。テーブル席の奥にソファ席があり、女性社員の多くはソファ席を利用していた。