喧嘩の作法

2013年10月11日

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久慈直登 (くじなおと)

日本知的財産協会専務理事

1952年岩手県久慈市生まれ。日本知的財産協会専務理事。本田技研工業株式会社知的財産部長を経て2012年より現職。主要論文としては国連世界知的所有権機構による世界への環境技術普及のための「WIPO Green」として採用された「プロバゲイティング グリーンテクノロジー」など。

 最近の中国の模倣品は模倣品ながら本物よりもいい素材を使い性能がいい場合もあるぐらいだが、これも同じ性向のなせる業である。さらに台湾や韓国は一定期間学んだら契約を打ち切るよう政府が指導するため、これらの国への技術供与は、最初はよくても長続きしない。中国はまだ学んでいる途上でもあり、これが目立つわけではないが時間の問題と考えておく方がいい。技術供与は、特に東アジア諸国では打ち切られることを最初から想定した知財対応をしなければならない。

国連の技術デパート

WIPOグリーン

 第三者への技術供与をリスク少なく継続的に行うにはどうすればいいのか。参考として紹介するが、気候変動枠組条約下で技術移転メカニズムとして期待されている世界知的所有権機関の「WIPOグリーン」の仕組みが使える。これはいい技術を世界に広めるために実務的な視点からビジネス成立性を考えて作ったもので、仕組みとしてはまず企業が供与できる技術、受け入れたい技術をWIPOに登録する。いわば国連の技術デパートの商品棚に自社技術を展示広告し宣言する。

 自社技術と宣言すれば模倣や盗用の牽制にもなる。技術の対象は、特許、ノウハウ、技術情報、役務提供、トレーニング、部品供与、設備供与、メンテナンスなど要素別でも全体でもいい。大規模なプラントでも特許1件だけでもいい。

 展示された技術を見て途上国または先進国企業からでも申し込みがあればその後は当事者間の交渉になる。国連がバックについているため途上国からの技術料支払いへの銀行保証なども用意され、仲介サービスが入るなど知財面、契約面での確実性は担保される。将来においても日本企業が研究開発成果を生みだし全世界から技術料収入を継続して得てゆくには、潜在的な顧客を見つけることが可能なこのような仕組みを利用することも考慮に値する。

◆WEDGE2013年10月号より










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