2024年12月4日(水)

ジェンダー平等と多様性で男性優位の社会を変えよう

2024年2月22日

QUESTION
組織が変わりつつある中、働く側の人たちに求められていることとは。

得能 日本では最近、男女問わず、責任を負うことを過度に避ける傾向があるように思う。私からしたら、非常にもったいないことだと感じる。商品、価格、マーケティング戦略などは部分ではなく、全体を見なければ分からないことが多い。実際、経営者になり、視界が開けて純粋に楽しかった。

 なぜ欧米と日本人ではこうした違いがあるのか、海外での経験と比較したときに感じるのは「自己責任」に対する考え方だ。海外ではすべてが自己責任となるため、「自立」していることを前提にして物事を捉える。

 誤解を恐れず踏み込んで言えば、日本の女性は、海外と比較して、自立心が薄いと感じることがある。自立とは、自らの力で食べていくために働くということだ。いまや男女で受けている教育は全く同じであり、格差もないにもかかわらず、社会に出るとなった瞬間に、女性は自立度が低くなることが少なくない。「男性が家族を養う」という戦後長らく続いた日本のシステムが女性たちをそうさせてしまった面も否定できない。ただし、女性を養う、守るというのは男性が女性を対等に見ていないということの証左でもある。

 男女関係なく、個人として生きやすい社会をつくるには、やはり「男女平等」であることが不可欠である。

 その上で、女性の意識改革も必要であろう。アファーマティブ・アクションに対する個人の複雑な感情を捨て、次世代の女性たちに対するノブレス・オブリージュ(高貴なる義務)として、一歩でも女性の地位向上に積極的にかかわっていくことが求められているのではないだろうか。

(聞き手/構成・編集部 梶田美有)

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Wedge 2024年3月号より
ジェンダー平等と多様性で男性優位の社会を変えよう
ジェンダー平等と多様性で男性優位の社会を変えよう

「育児休暇や時短勤務を活用して子育てをするのは『女性』の役目」「残業も厭わず働き、成果を出す『女性』は立派だ」─。働く女性が珍しい存在ではなくなった昨今でも、こうした固定観念を持つ人は多いのではないか。 今や女性の就業者数は3000万人を上回り、男性の就業者数との差は縮小傾向にある。こうした中、経済界を中心に、多くの組織が「女性活躍」や「多様性」の重視を声高に訴え始めている。

内閣府の世論調査(2022年)では、約79%が「男性の方が優遇されている」と回答したほか、民間企業における管理職相当の女性の割合は、課長級で約14%、部長級では8%まで下がる。また、正社員の賃金はピーク時で月額約12万円の開きがある。政界でも、国会議員に占める女性の割合は衆参両院で16%(23年秋時点)と国際的に見ても極めて低い。

女性たちの声に耳を傾けると、その多くから「日常生活や職場でアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み、偏見)を感じることがある」という声があがり、男性優位な社会での生きづらさを吐露した。 

3月8日は女性の生き方を考える「国際女性デー」を前に、歴史を踏まえた上での日本の現在地を見つめるとともに、多様性・多元性のある社会の実現には何が必要なのかを考えたい。 


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