組織が変わりつつある中、働く側の人たちに求められていることとは。
得能 日本では最近、男女問わず、責任を負うことを過度に避ける傾向があるように思う。私からしたら、非常にもったいないことだと感じる。商品、価格、マーケティング戦略などは部分ではなく、全体を見なければ分からないことが多い。実際、経営者になり、視界が開けて純粋に楽しかった。
なぜ欧米と日本人ではこうした違いがあるのか、海外での経験と比較したときに感じるのは「自己責任」に対する考え方だ。海外ではすべてが自己責任となるため、「自立」していることを前提にして物事を捉える。
誤解を恐れず踏み込んで言えば、日本の女性は、海外と比較して、自立心が薄いと感じることがある。自立とは、自らの力で食べていくために働くということだ。いまや男女で受けている教育は全く同じであり、格差もないにもかかわらず、社会に出るとなった瞬間に、女性は自立度が低くなることが少なくない。「男性が家族を養う」という戦後長らく続いた日本のシステムが女性たちをそうさせてしまった面も否定できない。ただし、女性を養う、守るというのは男性が女性を対等に見ていないということの証左でもある。
男女関係なく、個人として生きやすい社会をつくるには、やはり「男女平等」であることが不可欠である。
その上で、女性の意識改革も必要であろう。アファーマティブ・アクションに対する個人の複雑な感情を捨て、次世代の女性たちに対するノブレス・オブリージュ(高貴なる義務)として、一歩でも女性の地位向上に積極的にかかわっていくことが求められているのではないだろうか。
(聞き手/構成・編集部 梶田美有)