2024年12月22日(日)

ニュースから学ぶ「交渉力」

2023年8月14日

 戦後、女性が活躍できる社会実現に向け、男女雇用機会均等法(1972年)や男女共同参画社会基本法(99年)など法整備が進められてきた。第二次安倍晋三政権では、主要政策の一つに「女性活躍」が謳われ、これに伴って女性活躍推進法(2015年)が制定されるなど、法制度のさらなる変化の後押しとなった。

 しかし実際には、世界の中でも大きく後れを取る厳しい現状がある。上場企業の役員に女性が占める割合は15.5%と、主要7カ国(G7)の中でも大差をつけられて最下位であり、また、政治家に占める女性の割合は、146カ国中139位というジェンダーギャップに関する調査結果もある。

 この結果は、法的には男女の扱いに差別はなくとも、社会構造的な問題で政治家を志望する女性が極端に少なかったり、資質があっても性別などによって不当に社内での昇進を阻まれてしまう、いわゆる「ガラスの天井」があったりすることがうかがわれる。

( maruco/RyanKing999/gettyimages)

 現在政府は、「2030年までに女性役員比率を30%以上に」という目標を掲げている。もともと、20年までに指導的立場の女性を30%以上にすることを目指してきたが、先述の調査などからも明らかなように実態は程遠く、改めて設定された目標である。

 筆者は、女性活躍推進の過渡期にある現在、こういった明確な数値目標を掲げることに賛成だが、これを机上の空論に終わらせず実効性を持たせなければ意味を成さない。性別などにとらわれず、誰もが活躍できる社会にするためにはどのような取り組みが必要かを多様な角度から考え、提言を試みたい。

無意識バイアスの罠

 性別による役割意識は、自分でも気づかないうちに定着してしまっていることが多く、無意識のバイアス、すなわちアンコンシャス・バイアスと呼ばれる。内閣府の調査による家庭・コミュニケーションシーン、職場シーンというシーン別の性別役割意識調査によれば、「男性は仕事をして家計を支えるべきだ」と考える人や、「育児期間中の女性は重要な仕事を担当すべきでない」と考える人が男女とも最も多くを占めた。特に、家庭シーンにおいては、男性が家計を支えるべきと考える男性が5割近くに上り、性別役割意識が強いという結果が示された。

 パートナーと、相互に認識のすり合わせが行われた結果の分担であれば何ら問題はない。しかし、何も話し合いをせず、成り行きや、これは相手が行うべきだという自分の認識を疑わずに生活していると、いつしか両者の見解にずれが生じかねない。


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