2022年11月27日(日)

Wedge OPINION

2022年7月23日

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奈良岡聰智 (ならおか・そうち)

京都大学公共政策大学院 教授

京都大学大学院法学研究科博士後期課程政治学専攻修了。専門は日本政治外交史。京都大学法学研究科助教授を経て現職。著書に『対華二十一カ条要求とは何だったのか』(名古屋大学出版会)、『加藤高明と政党政治』(山川出版社)など多数。

 日本の「男女平等」や「女性活躍」が名ばかりなことは数字が証明している。根底にある差別意識を直視し、解消に向け具体策を講ずる時だ。
 『Wedge』2022年8月号に掲載されているWEDGE SPECIAL OPINION「「子育て支援」や「女性活躍」を〝理念〟や〝主観〟だけで語るな」では、そこに欠かせない視点を提言しております。記事内容を一部、限定公開いたします。全文は、末尾のリンク先(Wedge Online Premium)にてご購入ください。
 今夏、第26回参議院選挙が行われた。各政党がマニフェスト(公約)を戦わせた〝熱〟も落ち着き、いよいよ本腰を入れて政策実現へと舵を切る。
 だが、ここでひとつの疑問が浮かぶ。選挙の度に、各政党がこぞって「子育て支援の拡充」や「女性活躍社会の実現」を訴えかけるが、世界の先進国の中で、これらの分野におけるわが国の歩みが遅いのはなぜだろうか。
 子育て支援を通じた出生率向上や、女性活躍推進を通じた多様性のある社会の実現は、将来の日本にとって大きな〝活力〟となる。今後注力すべきは、その①目的と②効果の精査である。
 ①について、政府の子育て支援・女性活躍推進の目的が、「当事者たちの支持を得ること」になってはいないだろうか。だが実は、それらを達成することは子育て世帯や女性自身のみならず、社会全体にとって大きな利点となる。確実な政策実現に向け、「なぜ国や社会に必要なのか」といった目的を、当事者のみならず国民全体に伝え、広く理解や支持を得る必要がある。
 ②に関し、特に子育て支援や女性活躍推進といった分野は身近なテーマであるがゆえに、誰もが専門家であり、とかく〝理念〟や〝主観〟で語られやすい。個人の経験から「(親は)(女性は)こうあるべき」といった理念や主観に縛られていては一向に歩みを進めることができないばかりか、「船頭多くして船山に上る」といった結果につながりかねない。
 そのような状況を打破するには、誰もが納得する「客観的な根拠(エビデンス)」に基づいた政策実現が不可欠である。国の政策に関し、「公約」をスタートとし「実現(導入)」をゴールとするのではなく、導入後の実行プロセスや効果検証を含め、確実かつ丁寧に進めていくべきだ。
 3年に1度の国政選挙を好機とし、改めて日本における子育て支援・女性活躍のあり方を考えてみよう。
世界に目を向ければ、国の指導者が女性であることは珍しくない(左からスウェーデン、フィンランド、ノルウェーの各首相) (REUTERS/AFLO)

 日々ロシア・ウクライナ戦争の状況が報道されている。この危機によって、多くの政治指導者が国を背負って前面に出てくるようになった。そこで改めて日本と世界の差が可視化されたのが、「女性の政治進出」の度合いである。

 フィンランドのマリン首相、スウェーデンのアンデション首相、モルドバのサンドゥ大統領など、国策転換の先頭に立っている欧州諸国のリーダーには、女性が少なくない。ウクライナでも女性が副首相、国防次官を務めているし、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長、英国のトラス外相など、国際政治の舞台で活躍している女性は多い。アジアでも、台湾の蔡英文総統など、女性がトップリーダーになることは今や珍しくない。

 これにひきかえ、日本の指導者は男性ばかりで、ジェンダーバランスの悪さが際立っている。日本ではいまだ女性の首相が誕生していないばかりか、閣僚や地方首長でさえ女性は少ない。

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