来る5月5日はこどもの日である。祝日法第2条では、子どもの日を「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」と定めている。
万葉集の山上憶良の歌、
銀(しろかね)も金(くがね)も玉も何せむにまされる宝子にしかめやも
(意訳すると、たとえ金銀の貴金属でも子どもの価値には勝ることはできない)
はあまりにも有名な歌であるが、その宝ともいうべき子どもが毎年10万人単位で消えているのをご存じだろうか。といっても、誘拐や虐待の話ではない。少子化による子どもの減少である。
子どもの日を前に、4月20日に総務省から日本の子ども(0~14歳)の人口の推計値が公表された。2022年4月1日時点での子ども人口は、続く少子化の影響のもと、昨年に比して25万人あまり減少し、1465万人と史上最少になった。日本の子ども人口は1982年以来41年間連続で減少を続けている。
筆者が所属する東北大学高齢経済社会研究センターでは、毎年4月1日時点の子ども人口を基準に、過去1年間の子ども人口の減少率がこのまま継続すると仮定し、1秒ごとの子ども人口の減少を計算し、将来の子ども人口をシミュレーションしている。
その結果、このまま子ども人口が減少し続けると、西暦2966年10月5日には日本の子ども人口は、理論上1人になることになる。すなわち、2966年より後の日本には「こどもの日」は来ないことになる。この試算は、「子ども人口時計」と呼ばれ、1000人単位の推計人口から有効数字をあえて無視して計算したものであるが、少子化の行きつく先を見える化し、現在時点での少子化対策の必要性をビビッドにする目的で行われている。(※2022年5月11日に新たなデータにより再計算)
少子化対策については前回「都市と地方、子育て環境が充実しているのはどちらか」で、ユニセフ報告書に基づく国際比較により議論した。今回は、子どもそのものに焦点を当て、こどもの日の主旨のひとつである「こどもの幸福をはかる」観点から、同じユニセフの報告書による子どもの幸福度についてみることとしたい。