日本の子どもの幸福度は38カ国中20位
ユニセフが2020年に公表した先進38カ国の子どもの幸福度ランキングの結果は、表1に挙げるとおりである。
表1には38カ国中上位21カ国を抜粋して掲載してある。これを見てわかることは、日本は下位の第20位にランクされていること、そしてデンマーク、ノルウェー、フィンランドなどの北欧諸国が上位にランクされていることである。
ちなみに、前回「子育て政策」のランキング(日本は21位)で2位であったアイスランドは、今回は24位と日本よりも下位であり、さらに米国はこどもの幸福度では36位とかなり低くランク付けされている。いずれにしろ、日本は子育て政策面でも子どもの幸福面でも20位前後と子育てのインプットでもアウトプットでも低迷していることは確かである。
子どもの幸福は何で決まるか
ユニセフの子どもの幸福度ランキングは、どのような根拠に基づいて日本を20位とランク付けたのであろうか。同報告書での評価項目は表2に示す通りである。
ユニセフの考え方では、子どもの幸福は①子どもの精神面、②子どもの身体面、③子どもの能力面の3つの柱から評価される。はじめに心の健康ともいうべき精神面では、15歳の子どもに実際に人生に満足しているか(life satisfaction)を調査し、またその反対の自殺率に関してデータを収集している。第2の項目の身体の健康面では、児童の死亡率と子どもの肥満率をとっている。社会が発展途上の場合は、公衆衛生や栄養による乳幼児死亡率が高いことが問題になるが、先進国ではオーバーカロリーや運動不足による子どもの肥満が問題になる。第3の項目は子どもの生きる能力として、国際学習到達度調査(PISA)による国際学力調査の結果から、学力と友人を作る力を評価している。
表2の3項目6要素のうち、子どもの幸福度に直接的に関連しているのは、15歳時点での人生に対する満足度と言えよう。ただし、この結果だけを子どもの幸福度と限定してしまうと、15歳時点の瞬間スナップショットでの幸福だけをカウントすることとなり、乳幼児時の健康、将来の大人の健康や就業などにつながる項目が除外されているため、他の項目も盛り込まれていると判断できる。
このことにより、中・長期的な観点から子どもの幸福を評価しようとしていることがわかる。以下ではこの表2に示された3項目で日本がどのように評価され、20位に甘んじてしまうこととなったのかを見ていくこととする。
日本の子ども、身体は1位、心はほぼ最下位
表3には、子どもの幸福度ベスト10の国と20位となった日本の評価の内訳を示している。表1に示された総合評価は、表2に紹介した精神的な福祉、身体の健康、能力の3項目の評価を基準になされている。
表3によれば、どの国も項目毎にばらつきがあることがわかる。例えば第1位のオランダは、心の健康は1位、能力は3位であるが、身体の健康は9位とベスト10中では下位である。