本連載の「都市圏大学への立地・定員の介入は地方のためになるか」では、大学進学率に焦点を当てて、都市と地方における高等教育政策を議論した。今回は、それに先立つ幼少期の政策として、子育て環境に注目し、都市と地方を比較する。
ユニセフによる子育て政策ランキング
具体的に日本国内での地域的な子育て環境を比較・検討する前に、国際的な子育て環境に関するランキングにおける日本のポジションを確認し、子育て政策を評価する場合の具体的な指標についてみることとしよう。
表1は、昨年6月に国連児童基金(ユニセフ)により公表された先進国における子育て政策のランキング結果である(以下ユニセフ報告書と称する)。評価対象とされた全41カ国のうち、ほぼ上位2分の1にあたる21カ国を抜粋して掲載している。
表1からわかることは3つある。第1に、日本は21位と最下位であること。第2は、上位国がこの手の国際的ランキング(幸福度や男女平等度など)で常連のアイスランドや北欧諸国であること。第3に、アジアでは韓国が9位と日本よりも上位に評価されていることである。
次に、ユニセフは一体どのような指標を根拠として日本を21位とランク付けたのかを見てみよう。以下の表2は、ユニセフ報告書の評価に用いられた項目の一覧である。ランキングは基本的に1.育児休暇(Leave)、2.幼児教育へのアクセス(Access)、3.幼児教育の質(Quality)、4.幼児教育の適正な費用(Affordability)の4項目からなっている。
表2の4項目は、子育てにおいて重要な項目が制度的に備わっているかという観点から量・質・費用の要素から構成されており、特段に偏ったものとはなっていない。以下ではこの表2に示された項目で日本がどのように評価されたかを見ていくこととする。