#財政危機と闘います

2022年2月21日

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島澤 諭 (しまさわ・まなぶ)

関東学院大学経済学部教授

富山県生まれ。1994年東京大学経済学部卒業 同年4月経済企画庁入庁。調査局内国調査第一課、総合計画局計量班、調査局国際経済第一課等を経て2001年内閣府退官。02年秋田経済法科大学経済学部専任講師、04年10月秋田大学教育文化学部准教授。15年4月から中部圏社会経済研究所研究部長を経て、22年4月より現職。

 いま、線路を走っている一台のトロッコが制御不能に陥ってしまった。このまま進めば作業員5人をトロッコがひき殺してしまう。

 あなたは、トロッコが走る線路の分岐レバーの近くにいる。レバーを引いてトロッコの進路を切り替えれば5人は助かるが、切り替えた先にいる作業員が1人犠牲になってしまう。

 あなたは5人を助けるために1人を犠牲にするべきか、それとも5人を見殺しにするべきだろうか。

 これは倫理学における思考実験のひとつで「トロッコ問題」と呼ばれている。

国の想定より5年先を行く日本の少子化

 日本の少子化が加速している。

 厚生労働省「人口動態統計」によれば、2016年の出生数は97.7万人と戦後初めて100万人を下回ったが、それから僅か3年後の19年には前年からマイナス(以下、▼)5.8%の86.5万人と90万人をも割り込んでしまった。

 国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」によれば、20年の実績と同程度の84.4万人に減少するのは25年と推計されていたから、国の想定より5年早く日本の少子化が進行していることが分かる。

(eggeeggjiew/gettyimages)

 さらに、20年の出生数は、コロナ禍もあって19年以上の落ち込みを見せ80万人を下回るのではないかとの識者からの指摘もあったわけだが、令和婚の影響もあってか、84.1万人(▼2.8%)となんとか踏ん張った。

 しかし、21年にはいよいよコロナ禍の影響が本格化し、19年を上回る落ち込みがあるのではないかとも指摘する識者もいる。

コロナで落ち込む出生数

 19年12月上旬に中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウィルスが日本国内で最初に確認されたのが20年1月16日であり、当初は対岸の火事的な扱いだったものが、次第に事態の深刻さが認識され出した。

 そうした中で20年2~3月頃からコロナが人々の妊娠に影響を与えたとすると、妊娠期間がほぼ9カ月ということを考えるならば、20年11~12月以降に出生数に影響し始めたと考えられる。

 そこで、足元の月別の出生数の動きを図1により確認すると、確かに出生数は20年11月(対前年同月比▼4.5%)、12月(同▼7.5%)、21年1月(同▼15.5%)、2月(同▼10.5%)と大幅に減少し、それ以降もほぼ前年同月を下回って推移していることが分かる。

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