#財政危機と闘います

2022年1月14日

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島澤 諭 (しまさわ・まなぶ)

中部圏社会経済研究所研究部長

富山県生まれ。1994年東京大学経済学部卒業 同年4月経済企画庁入庁。調査局内国調査第一課、総合計画局計量班、調査局国際経済第一課等を経て2001年内閣府退官。02年秋田経済法科大学経済学部専任講師、04年10月秋田大学教育文化学部准教授。2015年4月から現職。

 岸田文雄首相の掲げる「新しい資本主義」の理解が今一つ深まらない。総理のさまざまな場面での発言を踏まえると、これまでの経済運営で解体されつつある中間層の再生を目指すものであるらしい。

 ただし、そのための手段が再分配政策であるのには注意が必要だ。

(sefa ozel/gettyimages)

再分配政策は一時的効果しかない

 再分配政策は一時的に効果を上げることがあるにしても、再分配のための原資がなければ、永続したものにはなり得ない。つまり、ピザの配分に不公平がある場合には、一度切り分けたピザをもう一度切り分け直せば、平等な分け方にはなるかもしれないが、ピザを食べてしまえばそこでお終い。次にもっと大きなピザを焼かない限り、私たちは従前と同じ大きさのピザの分け前にしかありつけないのと同じ理屈だ。

 日本経済というピザを大きくしない限り、つまり日本経済を成長させない限り、私たちは豊かにはなれないのだ。そして、日本のような少子高齢化、人口減少が続く経済にあっては人、つまり労働力こそが有効活用すべき稀少な資源と言える。

構造改革の経済学的意味

 資源の効率的利用に威力を発揮するのが「市場」である。市場メカニズムの活用というと、小泉純一郎・竹中平蔵流の構造改革路線を想起する読者もいらっしゃるだろう。

 そもそも、市場メカニズムを活用することで、価格をシグナルとして需要と供給が調整され、政府に指図されなくとも、消費者や生産者が利己的に振舞っていても、必要なところに必要なだけ資源が配分されていく。社会全体では、知らない間に稀少資源の効率的な利用が進み、国民の経済的な満足度が最大化されていく。このときに重要なのが、いかに経済学的に不必要な規制を減らしていくかということである。

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