2022年12月4日(日)

#財政危機と闘います

2022年1月14日

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島澤 諭 (しまさわ・まなぶ)

関東学院大学経済学部教授

富山県生まれ。1994年東京大学経済学部卒業 同年4月経済企画庁入庁。調査局内国調査第一課、総合計画局計量班、調査局国際経済第一課等を経て2001年内閣府退官。02年秋田経済法科大学経済学部専任講師、04年10月秋田大学教育文化学部准教授。15年4月から中部圏社会経済研究所研究部長を経て、22年4月より現職。

必要なのは、努力した人が報われる社会

 つまり、小泉・竹中構造改革は、手厚く権利が保護された正規雇用の解雇規制を放置したまま非正規雇用の拡大に踏み切ったため、経済界の意図通り、低賃金雇用に雇用全体をシフトさせることで、稀少となる労働力の有効活用とそれに伴う賃上げが実現されず、高い賃金の正社員と低い賃金の非正規社員の間に埋めがたい格差を固定させ、非正規社員の多くが若い世代であることを勘案すると世代間格差をも惹起したのだ。郵政民営化など古い既得権益を打破したものの、人材派遣ビジネスなどの新たな既得権益を作り出すことになってしまっている。

 したがって、日本経済のダイナミズムの回復と世代間格差の是正の二兎を追うためには、解雇規制を撤廃し、労働市場に市場メカニズムを貫徹させることにより、稀少となる労働力の企業間・産業間の自由な移動と自由な価格付けを実現することで、より必要とされる高技能=賃金が高い職が視覚化され、人々がより高い賃金を目指して人的資本を磨き上げることで、賃金水準の底上げと社会全体にもポジティブな影響を与える。

 いつ労働市場に参入したかでその後の稼ぎが概ね自動的に決まる世の中よりも、不断の努力によって稼ぎが決まる、より努力した人ほど報われる社会の方が、これからの時代を担う若者世代にとっては公平な社会だと筆者は考えるが、いかがだろうか?

  
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