2024年12月22日(日)

ニュースから学ぶ「交渉力」

2023年5月31日

 今年に入り、ChatGPTという言葉を耳にする機会が飛躍的に増えた。すでにご存知の方も多いと思うが、OpenAIという米国企業が生み出したAIによるチャットサービスである。

 これに対抗してGoogleは「Bard」をリリースしており、今後も多くの企業がこぞって研究開発を進め、さまざまなサービスが登場することが予想される。これらは生成AIと呼ばれるものの一つで、生成AIは、与えられた指示に対して画像や文章などさまざまなコンテンツを作成することができる。

(Thapana Onphalai/gettyimages)

 たとえば、ChatGPTにプロンプトと呼ばれる命令文として「商品に傷がついていたとクレームを寄せてきた顧客に対するお詫び文を書いて」と入力すると、「まずはじめに、このような状況が発生したことについて深くお詫び申し上げます。私たちは常に厳密な品質管理を行っており、このような事態が発生したことは遺憾であり、大変心苦しく思っております。再発防止のため、以下の対応策を講じさせていただきます……」といった回答を得ることができる(23年5月23日無料版)。具体的な顧客名を入れたり言い回しを直したりと修正が必要になるとしても、文章のたたき台をつくるという一番時間のかかる部分をAIが即座にこなしてくれることで大幅な業務効率改善につながる。

AIとの対話で正解を引き出す

 ただし、出力された流暢な文章の内容が100%正しいとは限らない点に注意が必要だ。その精度は読み込むデータ量が増えるほど高まり、現時点でも相当なレベルにあることが発表されているとはいえ、あたかも真実のように全くでたらめな内容が含まれていることもあるので、真偽のチェックは欠かせない。

 わかりやすい例として、「こういうことがやりたいのでそのためのプログラムを書いて」と入力するとそれらしいコードが生成されるが、実際にはそのコードではうまくいかないことも多い。このとき、やっぱりAIは使い物にならないとすぐに切り捨てるのではなく、再度そのコードを入力したうえで、「このコードを修正して」と指示を与える。するとすぐさま修正したコードが書き出される。だめならもう一度。このような作業を繰り返していくうちに、正解にたどりつくことができる。

 このように、1回目がだめでも、言葉を補って質問を重ねて正解へ導く。これは、人間同士の対話に非常によく似た言葉のやりとりであり、AI活用の上でも重要な鍵を握ることを示している。

 そして、まだこれらはほんのスタート地点に過ぎず、これからさらにその進化は加速し、AIの知性が人類の知性を超える日、シンギュラリティが到来すると唱えられている。その時期は2045年とも、もっと早まるともさまざまに言われるが、いずれにせよ今後私たちの生活を大きく変える影響力があることは間違いない。


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