2024年12月15日(日)

都市vs地方 

2023年5月7日

 Chat(チャット)GPTとは、米国の企業であるオープンAI社が開発した、人工知能(AI)を使ったチャットサービスである。GPTはGenerative Pre-trained Transformer、すなわちAIが情報を学習し、その内容を生成し対話を通じて新たなコンテンツを示すことができる。あらかじめ学習して自らコンテンツを生成できるので、従来のAIに対して生成AIとも言う。

(hirun/gettyimages)

 先に群馬県高崎市で開かれた先進7カ国(G7)デジタル・技術相会合では、AIなどの新技術を活用するための規律として法の支配、イノベーションの機会の活用、適正手続き、民主主義、人権尊重など5原則で合意した。

 この5原則は抽象的に見えるが、すでに2019年5月22日にパリで開かれた経済協力開発機構(OECD)加盟36カ国及びパートナー6カ国の計42カ国は、AIに関する初の国際的な政策ガイドラインを正式に採択している。

 そのガイドラインは「AIシステムは、法の支配、人権、民主主義の価値、多様性を尊重するように設計され、また公平公正な社会を確保するために適切な対策が取れる――例えば必要に応じて人的介入ができる――ようにすべき」とか「AIシステムについて、人々がどのようなときにそれと関わり、結果の正当性を批判できるようにするために、責任ある情報開示を行うべき」などと、より具体的に定められている。今回のG7デジタル・技術相会合の5原則はこのOECD諸国のガイドラインを追認したともいえる。

 チャットGPTは、単にAIの学習結果を示すだけではなく、そこから新たに生成した内容を示すわけだから著作権との関係で微妙で深刻な問題を生じる。日本は工業技術や農業分野だけでなくアニメ・漫画をはじめとする文化芸術に至る幅広い分野で著作権を有しているからこそ、チャットGPTや生成AIに関わる国際的なルール作りの成否に国家の存亡がかかるといっても過言ではない。使い方の確立とルール作りを急ぐべきだ。

問われるチャットGPTへの〝質問力〟

 チャットGPTによる著作権侵害や誤った情報の流布は厳しく制限しなければならないが、その活用については期待できる。

 まずは情報検索の利便性である。YahooやGoogleに代表される検索エンジンはもちろん素晴らしいが、難点は回答の量が無限大であることである。検索結果の中から最良のものを見出すのに苦労する。

 それに対してチャットGPTは無数の回答肢の中から最良のものを選択してくれる。あとは扱う人がそれを適切に検証し修正できれば、ビジネスにも研究教育にも、あるいは日常生活にも役に立つ可能性をもっている。


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