2023年9月24日(日)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2023年4月20日

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高口康太 (たかぐち・こうた)

ジャーナリスト

1976年生まれ。千葉大学人文社会科学研究科(博士課程)単位取得退学。中国・南開大学に留学後、ジャーナリストとして活躍。著書に『幸福な監視国家・中国』(共著、NHK出版)など多数。千葉大学客員准教授を兼務。

 「ChatGPTによってAI 2.0時代が到来した」

 中国ビジネス界が〝再度〟、AIに沸き返っている。〝再度〟というのは、中国AIブームはすでに幻滅期に突入していたためだ。

(Userba011d64_201/gettyimages)

技術はあってもお金にならない

 中国といえば、米国と並ぶAI先進国として知られる。スタンフォード大学人間中心AI研究所(HAI)の報告書「2022 AI Index Report」によると、AI関連の論文数では中国が全体の31.04%とトップ。欧州連合(EU)・英国の19.05%、米国の13.67%を引き離してのトップだ。

 論文数は世界一を守っているが、ビジネスは様相が異なる。AIベンチャーの資金調達額を見ると、2022年は前年の半分以下に急落している。

(出所)中国調査企業ITオレンジの統計をもとに筆者作成 写真を拡大

 グーグル・ディープマインド社のAI「AlphaGo」がプロ囲碁棋士を破ったのが2015年。これを契機として中国でAIブームが起き、膨大なベンチャーマネーがこの業界に流れ込んできた。その資金を元手にAIスタートアップは天才たちをかき集め、より高性能なAI開発に邁進し、米国と並ぶAI大国の座を手に入れた。

 と、ここまでは良かったのだが、問題はその最先端のAIを生かすビジネスモデルがみつからない。中国には「AI四小龍」と呼ばれるAIスターアップがある。センスタイム(商湯科技)、メグビー(曠視科技)、クラウドウォーク(雲従科技)、イートゥー(依図科技)の4社だが、いずれも巨額の赤字を抱えている。


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