2024年11月22日(金)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2023年4月20日

 今は大手IT企業と大物企業家による「ChatGPTのようなAI」を作る競争が目を引くが、その後には「AIを使ってどのようなアプリケーションを生み出すか」の競争が始まることになる。

 スマートフォン時代ではアップルのiPhoneとグーグルのアンドロイド、米国企業が生み出したプラットフォームが基盤となった。新たな生成AIの時代では中国からプラットフォームを生み出したいと、中国政府も中国企業も熱望している。ただし、もしプラットフォーム争いに負けたとしても、その後のアプリケーションの開発競争という第二ラウンドが待っている。

AIが戦争作戦を立案?

 スマートフォン時代において、中国企業はさまざまなイノベーションを生み出した。数十秒程度の短い動画で人々をとりこにしたショート動画、QRコードを使って携帯電話を決済端末にするモバイル決済、動画配信とネットショッピングを融合させたライブコマースなどがその代表格だが、AIにおいても同様のイノベーションを生み出すことができるのかが注目される。

 おそらく、今の段階からは予測できないようなアプリケーションが生まれるはずだ。

 中国人民解放軍の機関紙「解放軍報」は2023年4月13日、「ChatGPTのアップグレード、AIは人類に変わって戦場を取り仕切るのか」との記事を掲載した。ChatGPTの軍事応用の可能性について分析した内容で、膨大な情報をすばやく要約し、要点を抜き出す能力を活用すれば、戦場の膨大な情報を整理し作戦立案能力を高めることができるのではないかと指摘している。

 AI兵器といえば、自律的に行動するドローンなどのイメージが強いが、あるいは戦うのは人間のままでも指示を下すのはAIという別の方式もあるかもしれないというわけだ。

 ビジネスから軍事にいたるまで、「ChatGPTショック」がもたらす可能性は巨大だ。この熱狂が何を生み出していくのか、スマートフォンに続いて中国独自のイノベーションが生み出されるのか、注目していきたい。

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