2024年4月24日(水)

冷泉彰彦の「ニッポンよ、大志を抱け」

2023年4月9日

 オープン型のAI「ChatGPT」が話題だ。確かに、こうしたAIの実用化は、世界における比較的単純な知的労働を大きく変える可能性を秘めているし、教育やコミュニケーションの方法論も影響を受けるだろう。では、日本としては、この技術にどう向かい合って行ったら良いのだろうか。5点ほど問題提起をしてみたい。

(Tippapatt/gettyimages)

英語圏では日進月歩の精度向上

 1点目はまず現状を知るということだ。このサービスが一般に公開されたのは、2022年11月30日で、サンフランシスコのベンチャー企業 Open AI 社が、AIが人間と対話する「チャットボット」をインターネットのオープンな空間でリリースした。

 筆者が使い始めたのは、リリースから約1カ月弱後の12月後半だったが、その時は英文のネイティブチェック的な使い方を、テック技術者のアシストで経験しただけだった。それでも、かなりの長文でも瞬時に添削する性能、特にその生成する英文の精度に驚嘆したのを覚えている。それから1カ月経過した本年の1月末には、米国で大きな話題となって、社会現象化した。

 1月の時点では、サーバーの容量不足から、ログインに際して待たされるなどの問題があったが、その後、インフラの拡充が図られたようでサービスは向上している。更に、マイクロソフトとの提携、多くのアプリとの連携が進む一方で、類似のサービスもどんどん出てきている。

 この開発と普及のスピードは、過去30年に起きた「ウインドウズ革命」「インターネットの普及」「サーチエンジンの拡大」「スマホ、タブレットの登場」「ウエアラブル端末の登場」といった動きと比べると、比較にならない猛烈なスピードと言える。

 まずは、この動きに乗り遅れないことが肝要だ。例えば、ファクトに関する質疑では、日本語の場合は情報量が不足していることから、まだ「ChatGPTは息を吐くように嘘をつく」などといってこの技術を軽視する意見が多い。だが、英語圏ではその実用性というのは、日本語とは比較にならない完成度を見せている。この点なども、正確に理解しておきたい。


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