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2022年11月18日

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玉村 治 (たまむら・おさむ)

スポーツ科学ジャーナリスト、科学ジャーナリスト

小学校より野球をはじめ、大学では投手として活躍。スポーツを科学的に分析することを得意とし、バンクーバー、ロンドン五輪、ワールドカップサッカーなどで取材。

 トヨタ自動車やNTTなど国内企業主要8社が11月、人工知能(AI)、スパコンなどに使う次世代半導体の国産化を目指す新会社を設立した。かつて世界のトップを走った日本の半導体産業は、「失われた30年」と軌を一にするように凋落した。世界の冠たる技術力を誇りながら国際競争力で大きく取り残された日本。日本のモノづくり再興のけん引となるのか。過去の失敗を教訓とできるのか、今後を考える。

(Ismed Syahrul/gettyimages)

今や日本の半導体のシェアが6%となった背景

 新たな半導体製造会社は、ラテン語で「速い」を意味する「Rapidus(ラピダス)」。2社のほかにソニーグループ、NEC、ソフトバンク、キオクシアホールディングスに加え三菱UFJ銀行が参加する。

 現在、半導体の多くは、世界最大の生産拠点である台湾に依存している。有事があれば、多くの企業に甚大なる被害を与える可能性があるという、経済安全保障の観点が設立の背景にある。政府も補助金を出すなど官民一体となって支援し、さらに日米政府が連携を強化しながら、研究開発と量産を図っていく。

 果たして半導体産業の復興はなるのか。今後の日本のモノづくりの試金石となるのか、過去を振り返りながら展望したい。

 1980年代後半、バブルに沸いていた日本のモノづくりは、我が世の春のように世界を席巻した。その代表が、「産業のねじ釘」と言われた半導体だ。正式には集積回路(IC)という。

 半導体産業は、当時、世界トップを走っていた。1988年ごろの、半導体生産額世界トップ10社を見ると、NECを含め日本メーカーが名を連ね、日本のシェアは50%を超えていた。ところが、2020年時点の日本のシェアは10%にも満たない。現在は6%まで落ち込んだ。

 この間、半導体市場は4兆円(1998年)から60兆円(2020年)を超える巨大市場へと急成長した。ネット社会、デジタル社会の到来で、通信分野だけでなく、車をはじめ多くの製品に使われ、半導体需要が大きく膨らんだためだ。半導体不足が、車、電気製品の生産に影響しているように、今後も半導体市場は拡大することは間違いない。

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