米Foreign Affairs誌9月29日付サイトで、 Todd Harrison米戦略予算評価センター上席研究員は、国防費削減が不可避ならば、対策は、現在の規模の軍を保有して、近代化の投資を抑えるか、あるいは、規模を縮小して、将来の軍の近代化を図るかだが、将来の世代の立場で考慮して選択すべきである、と論じています。
すなわち、国防予算の大幅削減の可能性が目前に迫って来た。予算が十分ならば戦略などは不要であるが、今こそ長期戦略を考えるチャンスである。
今のままでは、2011年から2021年の間に、実質価格で33%の削減となる。冷戦終了後は、35%、ベトナム戦後は25%、朝鮮戦争後は51%の削減であった。
2013年夏のレビュー(SCMR: Strategic Choices and Management Review)は、何時でも動員可能な現兵力維持か、高度技術、兵器を持つ少数の兵力かの、選択を提示している。それは、現在のリスクを取るか、将来のリスクを取るかの選択である。
政策当局としては、現在のリスクを取らない選択に傾きがちであるが、そのためには近代化計画を大幅に削減しなければならない。
現在の技術そのままということになると、対テロ戦争や、せいぜい湾岸戦争程度の通常戦争に備えるだけとなろう。
こういう短期的アプローチは、ここ数年のうちに起こるかもしれない危機に備えるためには必要というのはもっともである。
しかし、問題は将来である。将来の世代は現在においては発言力を持たないのだから、今から将来の世代の身になって考えなければならない。現在直面している問題は、重荷よりもチャンスと考えるべきである。これを機会に、今まで手をつけなかった内部の改革など、国防態勢の全面的見直しを図るべきである、と論じています。
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国防予算の強制削減などは架空の問題だとパネッタ元国防長官が言っていましたが、今や現実の問題になりつつあります。特に、最近、オバマ政権がレームダック化しつつあり、そのまま実施される可能性も排除できなくなってきました。
そこでこの機会に、前向きに考えて、将来の世代のために、近い将来については多少のリスクも顧みず、従来放置されていた改革を一挙に進めて、兵器の近代化に集中的に投資するべきだというのが、上記論説です。