2024年12月15日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年8月13日

 ヘーゲル米国防長官が、米上院軍事委員会の重鎮、カール・レヴィンおよびジム・インホフ両議員による、議会で審議がまとまらなければ来年度には520億ドル分の国防予算削減が必要になる、との予告に対する返答の形で、7月10日に公開書簡を送り、今春発表された次期会計年度(2014会計年度、以下FY2014)国防予算要求の妥当性を強調するとともに、次期会計年度が開始される10月以降も強制削減が継続実施されることへの懸念を表明しています。

 すなわち、FY2014国防予算要求(5266億ドル)は、米国が強固な国防を維持するために必要な、正当な額である。2011年に制定された予算管理法に則れば、我々の予算要求額から、さらに520億ドルの削減を求められることになるだろうが、私(ヘーゲル)は、この削減に断固として反対する。

 もし、要求額から更なる削減が行われるとすれば、米軍の即応性や技術的優越は低下し、我々の安全保障にコミットするための能力は大きなリスクに晒されることとなる。その結果、新たな安全保障上の緊急事態に対応するための、我々の選択肢は制限されてしまう。これは受け入れられない。

 また、予算管理法が原則禁止している、項目間の費用流用を議会が認めたとしても、FY2014予算から520億ドルもの削減をするのは急激すぎる。それ以前に、FY2013に行われた強制削減が、既に米軍の即応性にダメージを与えている。FY2014においても、軍は訓練や即応性に関連するコストを最小限に抑えようとしているほか、新規雇用の中止や施設維持経費の削減を行おうとしている。

 軍人の人件費も、来年度予算内ではこれ以上削減することはできない。我々は、国防総省で働く文民職員の強制無給休暇(furlough)が来年度も続くことを避けたいと思っているが、不本意ながら彼らの人件費を減らすことを考慮せざるをえないかもしれない。

 こうしたことから、FY2014予算から人件費にかかる部分を削減することは難しいが、その分を投資にかかる予算から削減するのも問題である。近代化の遅れは、我々にとって決定的に重要な技術的優越を蝕んでしまうことになる。

 FY2014予算に対する劇的な削減要求は、国防総省に戦略を無視した変化を強制しようとしている。私は、戦略レビューSCMR(Strategic Choices and Management Review)を監督し、これらの大規模削減への対応策を検討したが、どのようにしても、我々の軍事力に対する深刻なダメージからは逃れられそうもない。


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