2000万人という数字は決して不可能ではない。タイは人口6600万人で2235万人の外国人旅行者が訪れている。人口比で言えば、タイの2倍の観光客が日本を訪れてもおかしくはない。
外国人旅行者を今の2倍にするには何が必要だろうか。
もちろん空港などインフラの整備は必要になる。すぐに公共投資で新しいモノを作るという話になりがちだが、幸いなことに日本には全国に100近い空港があって稼働率はまだ低い。
富士山静岡空港など観光地に近いのにほとんど飛行機が飛んでいない空港もある。ハコモノを作ることより、オペレーションやマーケティングに工夫を凝らすことが重要なのではないだろうか。
多言語の案内表示など 民間で可能な工夫を
お上頼みでなくとも外国人観光客を増やす工夫はいろいろできる。
国際機関に勤める友人は世界各国を出張で飛び回り、日本も訪れるが、改善すべき点はたくさんあると指摘する。
例えばホテル。早朝に成田空港に着いて、その足で午前中に都心のホテルにチェックインしようとすると、午後3時の規定時間まで部屋に入れないと言われることが少なくないという。時間に正確な日本人の長所が、逆に融通がきかない短所だということか。
欧米では正午が多いチェックアウトの時間も、日本の昔ながらの慣習で午前10時のところがまだ多い。ホテルや旅館のちょっとしたオペレーションの見直しで改善できるに違いない。
世界的な「観光立国」で鉄道王国でもあるスイスでは今も、駅から駅まで荷物を託送する「チッキ」サービスがある。少し早めに次の目的地宛てに荷物を送っておけば、到着駅で荷物を受け取れる。
日本も昔は「チッキ」や駅の構内で荷物を運ぶ「赤帽」がいたが、今はほとんど姿を消した。
宅配便が普及しているので、ホテル間や駅間の荷物輸送にも使える。外国人観光客に分かりやすく便利なサービスを生み出す余地はありそうだ。
また、日本国内のJR全線が乗り降り自由な「ジャパンレールパス」は不慣れな旅行者には大変便利だが、新幹線の「のぞみ」には乗ることができない。最近は「のぞみ」が中心のダイヤ編成になっているだけに、切符の代金を少々高くして「のぞみ」にも使える種類も作って欲しいという声が聞かれる。