国土交通省は道路案内標識の英語表記を、外国人旅行者にも分かりやすく改善することを決めたという。
例えば、これまで「公園」を日本語読みの「Koen」としてきたものを「Park」に変更するそうだ。外国人が理解できる表記に変えるというのは「観光立国」をうたう以上、前提ともいえる話だが、貴重な一歩だ。
大都市のデパートなどでは英語、中国語、韓国語などの複数国語での案内表示が一般的になってきた。外国人旅行者が「上顧客」になってきたからで、外国語ができる専門のスタッフを置くところも出てきた。
政府は外国人旅行者が日本国内で土産物として購入した全物品を「消費税免除」の対象にするという。これまでは化粧品や菓子類などは免税の対象外だった。欧州などで一般的な出国時に消費税分を還付する方式を検討している。そんな免税範囲の拡大をどう売り上げ増に結びつけていくかも民間企業の知恵次第だろう。
町中のレストランでも英語表記のメニューを作るなど、外国人旅行者の視点からさまざまな見直しをしていくことは、民間企業のちょっとした工夫でできそうだ。
日々の生活で意識改革 日本の宝を磨こう
今後も少子化による人口減少が避けられない日本にとって、消費を支えてくれる外国人旅行者の獲得は待ったなしだ。
もちろん、観光地に魅力がなければ旅行者は来ない。歴史的な文物など古い物を大切にし、自然環境を守り、景観をより美しくする。そうした観光地の価値を磨き上げる作業は、政府や市町村の仕事というよりも、日々の生活の中での意識改革が大事だ。
観光客を呼び込むことは、日本の良さ、地域の良さを見つめ直し、それに磨きをかける作業に他ならない。
京都・清水寺に続く清水坂界隈では、若い男女の着物姿が目に付く。日本の若い女性に和装がブームなのかと思いきや、多くがアジアからの旅行客だ。町中で着付けをしてもらい、観光地を歩くツアーが人気なのだそうだ。
せっかく日本に行くのだから日本の文化に触れたいというのが外国人旅行者の率直な気持ちなのだ。それ以外にも外国人に知ってほしい日本の良さはたくさんある。
冷戦の終結と経済のグローバル化によって、今や世界中が旅行ブームと言える時代に入った。
日本に存在する外国人旅行者が魅力を感じる文化や自然、エンターテイメント、サービスは数知れない。今こそ、山のようにある日本の宝に磨きをかける時だろう。
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