今週、ヘーゲル国防長官は日韓両国を訪問し、同盟強化のための協議を行ない、日本では、ケリー国務長官も加わり、日本で初めて米国の無人偵察機を使用することを許可する安全保障協定に署名した。ヘーゲル長官は、日本がゆっくりではあるが確実に軍事力を強化することに、暗黙の支持を与えた。
しかし、米国と最も緊密な同盟国の1つ、日本でさえ、尖閣諸島問題で中国と対立した場合、米国が日本を支援する気があるのかに、疑問が出されている。
韓国でも、米韓同盟60周年祝賀会に、ヘーゲル国防長官及びデンプシー統合参謀本部議長が朴大統領と並んで出席したのにもかかわらず、韓国大手メディアは、米国の政策を「新たな孤立主義」と呼んだ。
インドネシアは、長い間、中国に不信を頂いていたが、それも、中国の経済力を背景に、少しずつ和らいているようだ。そして、「米国が今後5年間国防予算を大幅削減する中で、米国はアジア回帰戦略を維持できるのか」と言う疑問が出てきた。
一方、中国の習近平は、ジャカルタ演説で、中国は2020年までにASEANとの貿易を1兆ドルまで拡大すると語った。既に、中国は、多くの国で、米国に代わって第1の貿易相手国になっている
オバマ大統領は、インドネシアでのAPECサミットにも、ブルネイでのEASサミットにも欠席したので、多くの分野で、中国に席を譲った。
オバマがAPECに出席していたら、その目的の1つは、年内のTPP妥結を後押しすることだった。TPP12カ国に中国は含まれていないので、中国はTPPを中国封じ込めの手段だと思っている。
TPPは、オバマ政権にとって、アジア回帰政策の1つの重要な柱である。オバマは、アジア回帰は、軍事的側面のみならず、経済的側面が重要だと思っている。米国は、TPP交渉でマレーシアと対立しているが、今回、オバマはそのマレーシア訪問を中止した。
オバマが下院共和党との対立で紛糾しているのを見て、アジアの首脳達は、オバマには、果たして、TPPの貿易協定を議会で通す政治的手腕があるのだろうか、と疑問を持つ。